そこが知りたいQ&A−党代表者会後の外交政策は? |
対話再開に積極姿勢 国際社会の注目を集めた朝鮮労働党代表者会(9月28日)と党創建65周年(10月10日)慶祝行事が終わり、朝鮮半島をめぐる対話外交の新たな気運が生まれている。中国の召請により金桂官第1外務次官が北京を訪問(12〜16日)、6者会談再開への積極姿勢を示した。一方、9月以降、北南間の対話チャンネルも稼働し、今月末からは金剛山で離散家族の再会事業が約1年ぶりに行われる。
Q 党代表者会の結果は外交面に変化をもたらすのか。
A 今回の党代表者会は党の最高指導機関選挙のために開催された。政策問題に関する議論は行われなかった。しかし新指導部の構成により党の指導体制がいっそう強化されたことで、従来の政策方針を全面的に推進する条件が整った。 外交面でも積極的なイニシアティブを発揮することが予想される。朝鮮は2012年に「強盛大国の大門を開く」という目標を掲げた。今年1月には平和協定締結を米国など停戦協定締結国に正式に提案している。「平和と安定」は経済繁栄への前提条件だ。 今後、関係国の動きも表面化するだろう。今年2度にわたる首脳会談を通じて朝鮮との「伝統的友好」を内外にアピールした中国は、党代表者会の開催を祝賀し「2012年構想」への支持を表明している。 最近、中国のメディアは、党代表者会を成功させた朝鮮との接触を求める各国の動きが加速化するとの観測を述べている。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙といわれる「環球時報」は、米国も朝鮮との交流のため水面下の接触を行っていると伝えた。 Q 対話外交の流れは南の哨戒艦沈没事件で中断した。事件をめぐる対立点はいまだ解消されていないようだ。 A 米国と南は対立構図を維持するため東海や西海で軍事演習を行ってきたが、実際のところ問題解決の道筋は、すでに示されている。7月に発表された哨戒艦沈没事件に関する国連安保理議長声明は「対話による平和的解決」を奨励した。 米国メディアの報道によると、朝鮮がカーター元大統領の平壌召請を打診したのは7月のことだ。オバマ政権が適切な時期に訪朝許可を与えず、結果的に金正日総書記の8月訪中と元大統領の訪問日程が重なったのだという。 朝鮮は安保理が示した道筋に沿って行動している。9月以降、離散家族再会問題などで北南の接触が再開したのも偶然ではないだろう。 Q 外から見ていると北南の動きに唐突感がある。対話の流れは継続するだろうか。 A 朝鮮は、昨年も断絶した北南関係を改善するため積極的な措置を講じた。金大中元大統領の逝去にともなう特使弔慰訪問団のソウル派遣、離散家族再会事業の推進などだ。その後、第三国で「北南首脳会談のための秘密接触」が行われたと一部メディアが報じたこともある。 今後の北南関係は李明博政権の態度いかんによる。朝鮮は党創建65周年慶祝報告大会でも「北南首脳合意の履行」と「統一強国の建設」を必ず実現すべき政策課題として打ち出している。 朝鮮半島の平和を実現するためには、米国との交戦関係に終止符を打たなければならないが、同時に北南が同じ民族として協力関係を築き、統一を目指すことが平和の礎となる。 朝鮮の対米外交と北南関係改善は連動する側面がある。そして近年、朝米関係は核問題をめぐる多国間外交の枠組みの中に位置づけられてきた。こうして見ると、現在の対中協調路線の効果を最大限に生かした朝鮮の全方位外交が本格化しそうだ。 Q 6者会談の再開プロセスは具体化しているのか。 A 朝米は南の哨戒艦が沈没する直前まで「朝米2者会談→6者予備会談→6者本会談」という中国が示した「3段階提案」を念頭にニューヨークで接触を続けていた。 現在、米、南は哨戒艦沈没以降の状況変化を理由に「3段階提案」の修正を求めていると伝えられている。米国務省の高官などは、朝米よりも「北南の関係再開が先決」との見解を公言している。 米国は対話外交の再開にあれこれ条件を付けることで局面転換のイニシアティブをとっているかのようにふるまっているが、北京を訪問した金桂官第1外務次官が現地で言明したように「われわれ(朝鮮)は6者再開の準備ができているが、相手側が準備できていない」というのが現状のようだ。金次官は記者団に「慌てず忍耐心をもって努力する」と朝鮮の今後の対応を述べている。 Q 米国は対話再開に応じるだろうか。 A オバマ政権は「戦略的忍耐」の方針を立て朝鮮との対話を回避してきたが、相手側の「一方的変化」を待ち続けるという「戦略」の欠陥が露呈した。党代表者会の結果や盛大に行われた党創建65周年行事は、朝鮮の体制が磐石であることを実証した。中国との結束も固い。2012年に向けて全方位外交の準備を整えた朝鮮が動き出せば、米国も何らかの対応をせざるをえないだろう。(金志永) [朝鮮新報 2010.10.20] |