北南、対話チャンネル稼働 金剛山観光再開に注目 |
北南関係は長らく冷え込んでいたが、今年9月以降、人道問題などで対話が行われている。離散家族再会のための北南赤十字実務接触が3回にわたって開かれ、約1年ぶりとなる再会事業が今月末から行われる見通し。また、再会事業「定例化」問題を含む人道問題解決のために北南赤十字会談が開催される。金剛山観光再開問題を話し合う当局間協議も上程され、当局間の対話チャンネルが稼働しようとしている。
昨年との違い
離散家族再会が行われるのは約1年1カ月ぶりとなる。 昨年は9月26日から10月1日まで金剛山で行われた。これは、8月に平壌を訪問した南の現代グループと朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太委)の合意によるものだった。 このとき、離散家族再会だけでなく、金剛山および開城観光再開、白頭山観光の開始、開城工業地区の活性化など5項目からなる合意書が採択された。これは、北南関係を改善させようとする北側の「重大措置」の一環であった。 ところが、この合意で履行されたのは、結果的に離散家族再会事業だけで、これも1回で終わった。南当局が、「3大条件」(@金剛山観光客事件の真相究明A身辺安全保障B再発防止措置)が解決されなければ観光を再開できないと居直ったためだ。 南当局の主張する「3大条件」は、北南関係の改善を望まない南当局が当局間対話を拒み、北とのこう着状態を維持するための口実だ。 実際に、「重大措置」後、北南の非公式接触と会談が第3国で行われたとの報道があったが、北側が明らかにしたところによると、いったんは結ばれた合意を南当局者が反故にしたという。 北側は今年に入っても、関係改善のための努力を続けた。
北南和解、協力の象徴である金剛山観光事業の再開を関係改善の突破口にしようと、北側は、今年初めに観光事業再開のための北南当局間の実務接触を提起した。
そして当局間接触が実現した。しかし、南は観光再開に応じなかった。結局、北は「長期間の観光中断によりわが方が被った被害補償」(名勝地総合開発指導局、4月23日)として、南当局の資産を没収し、その他のすべての資産も凍結するに至った。 今回の離散家族再会のための北南赤十字実務接触でも当初、議論が難航した。その原因は、再会場所の問題だった。 南側は金剛山面会所での再会を要求し、北側は、面会所が没収・凍結措置の対象となっているため、当該部門関係者の協議を別途に行って問題を解決することを主張。平行線をたどった。 3回目となる接触(10月1日)で、北側が「(金剛山面会所で再会を行おうとする)南側の要請を崇高な同胞愛と人道的立場で受け入れ」たことによって、離散家族再会を10月30日から11月5日まで金剛山面会所と金剛山ホテルで行うことで合意する運びとなった。 3回目の赤十字接触で南側は、観光再開と関連し、北側が提起すれば関係当局が検討するという立場を伝えた。 これによって北の名勝地総合開発指導局は接触翌日の2日、南の統一部に、金剛山地区の南側不動産の問題、観光再開の問題に関する北南当局間実務会談を15日、開城で開くことを提案する通知文を送った。 離散家族の再会という人道主義事業を金剛山観光再開のための当局者会談につなぎ、北南の全般的関係を改善するという流れができた。 10月末に予定されている北南赤十字会談では、離散家族再会の「定例化」を目指すとされている。 離散家族再会は02年以降金剛山で行われている。再会が「定例化」されるためにも、金剛山観光再開はなされるべきである。 8日現在、南の統一部は、北が15日行おうとする当局間実務会談の提案に、「受け入れるかどうかを含め、開催時期などを総合的に検討している」(3日、当局関係者)とし、回答を保留している。 当局会談の成否とその行方は、南側の北南関係改善に対する態度を占うものとして注目されている。(姜) [朝鮮新報 2010.10.13] |