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再び注目集める羅先市 朝・中・ロを結ぶ貿易の拠点に

08年10月4日に着工された羅津−ハッサン鉄道 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 中国、ロシアと国境を接し、朝鮮北東部の豆満江下流地域に位置する羅先市(咸鏡北道)が国際貿易地区としての歩みを加速させている。

 2日、朝鮮貿易省の具本泰次官が羅先市を国際的な加工貿易と仲介貿易を担う国際貿易地区として発展させる計画について言及した。

 この発言は、同日から中国・吉林省長春市で開催された第6回北東アジア投資貿易博覧会(〜6日)の開幕式後に行われた「北東アジア経済貿易合作高官討論会」の基調報告でのもの。金正日総書記の中国非公式訪問(8月26〜30日)後、初の朝鮮高官の公式発言として注目が集まった。

 羅先市は同日、中国・琿春の中聯海上運送公司と羅津港を利用してコンテナ輸送船を運航するための協約を、長春市で締結した。

 また4月21日には、羅先市とモンゴル道路・運輸・建設・都市計画省との間で経済・貿易協力発展に関する覚書が調印されている。

東北アジアの海の窓口

 現在、中国は東北地方の経済発展に力を注いでいる。昨年には豆満江流域開発プロジェクトである「長吉図(長春−吉林−図們)開放先導区」建設に乗り出した。

 同区が東北アジアの物流拠点になるためには海上航路の確保が必要とされ、朝鮮北東部の羅津港(羅先市)に白羽の矢が立ったとされる。

 羅先市の前身である羅津市と先鋒郡を、自由経済貿易地帯として開発することが発表されたのは、1991年12月。93年1月に自由経済貿易地帯法が制定され、99年2月にその名称が羅津−先鋒経済貿易地帯法に改められた。また00年9月には行政区域名が羅先市に改称された。

 近年、耳目を集めたのが、ロシア・ハッサンとの鉄道連結事業だった。

 08年10月4日、羅津とロシア・ハッサン間を結ぶ鉄道および羅津港改修事業が着工された。羅津−ハッサン鉄道は、朝鮮半島を経由するアジアとヨーロッパ間の物資輸送網構築構想を実現するためのもの。

 この構想の土台となったのが、2001年に金正日総書記とロシアのプーチン大統領(当時)の間で交わされた朝ロ・モスクワ宣言だった。モスクワ宣言の第6項には「双方は世界的実践で公認された相互利益の原則に基づいて、朝鮮半島の北南とロシア、ヨーロッパを結ぶ鉄道輸送路創設計画を実現するため、必要なすべての努力を傾けることを公約しつつ、朝鮮とロシア鉄道連結事業が本格的な実現段階に入ることを宣言した」とある。

 羅先市豆満江駅地区朝ロ親善閣前で行われた着工式で演説した朝鮮鉄道相は、この区間の鉄道が「両国の経済と交通運輸に寄与する親善の陸上輸送ルートとして、ひいてはアジアとヨーロッパ間の国際輸送を円満に保障する国際輸送ルートとして発展する確固たる展望を持っている」と述べた。

特別市に指定

 09年12月に金正日総書記が、91年の自由経済貿易地帯創設以来初めて羅先市を訪れた。総書記は貿易の重要性を強調し、同市を「重要な対外貿易拠点の一つ」だと指摘した。

 今年元日に発表された3紙共同社説では、「対外市場を拡大し、貿易活動を積極的に繰り広げる」ことが言及された。直後の1月4日には政令が発表され、羅先市が特別市に指定された。同27日には羅先経済貿易地帯法が改正された。

 一方、外資誘致のための国家的措置も取られている。

 1月20日に国家開発銀行を設立することが発表された。平壌市内で開かれた朝鮮大豊国際投資グループ理事会第1回会議で明らかになったこの方針は、国防委員会の決定とされた。朝鮮中央通信によると、会議では国防委員長命令「朝鮮大豊投資グループの活動を保障することについて」が伝えられた。

 朝鮮中央通信が伝えたところによると、朝鮮大豊投資グループは対外経済協力機関であり、「国家開発銀行に対する投資誘致および資金源泉を保障する経済連合体」としての活動を行うという。(茂)

[朝鮮新報 2010.9.24]