新義州地区の水害 2学期スタート 「厳しい中でも授業は中断できない」 |
子どもたちが教科書を読む声も
平安北道新義州市の水害地域の学校では、すべてのものが不足している厳しい状況の中でも、9月1日から新学期の授業を行っている。今回の洪水で教育部門も大きな被害を受けた。 新義州市では12の教育関連施設が被害を受けた。中学校が3校、小学校が2校、幼稚園が7園である。学校、幼稚園がほとんど浸水し、その建物が破壊、損傷されてしまい、コンピューターなど多くの教育用の備品が流失し、使用できなくなった。新義州市下端里にある薪島小学校は8月21日の明け方2時に、校舎のすべてが浸水してしまった。その結果、教員室が全壊し、そこに保管されていたコンピューター、テレビ、録画機、机と椅子、各種のグラフと教鞭用具などの数十種の備品が流失、使用できなくなった。また、8つある教室の中で4つの教室の天井が崩れ、その他の教室も多くの部分が壊れてしまった。当時、217人の生徒全員は夏休みの最中だった。 教職員と生徒の中で人命被害はなかったが、水害を受けた学校が9月1日からの新学期を準備することは、容易なことではなかった。キム・ドンヒ校長(65)は「学校の教職員、生徒全員が被災者になってしまった。このような状況で、新学期を果たしてスタートできるのかと心配し、気が遠くなるようだった」と話す。しかし生徒たちのための授業は、絶対に中断できないというのが、教職員全員の意志だった。新学期をスタートさせるべく、教職員全員が立ち上がり、道と市の人民政権機関も物心両面から支援した。新義州市では他の部門に対する復旧に注力する一方で、ノートと鉛筆、通学用カバン、新しい制服を優先的に準備し、学校に送った。 9月1日、小学校では校舎の鐘の音が響き、多くの人々の関心の中、開校の行事が行われた。この日、学父母は国家が水害地域の生徒に新しい制服と教科書などの学用品を提供してくれたことに、感激していた。キム・ジョンシムさん(12)の母、リ・ミスンさん(40歳、下端里47班居住)は「教員も被害を受けたことから、新学期が予定通りに始まるとは思っていなかった。娘も勉強ができると喜んでいる。国の有難さを実感している」と心境を話した。この小学校で教鞭をとっている教員のペ・ウォンシルさん(51)の自宅は、学校がある威化島ではなく、イム島にある。ペさんは、水害に見舞われた自分の家にまだ行っておらず、新学期からは学校で寝泊まりしながら、毎日教壇に立っている。ペさんは、「子どもたちが不便な中でも授業を受けているのに、自分のことを先に考えるつもりはない」と言う。今日も未来を担う生徒たちの教科書を読む声が、水害の地域にこだましている。しかしこの小学校でも、まだ完全な復旧には至っていない。教育用の備品はもちろんのこと、校舎を補修するために必要なセメント、木材、ガラスなどが不足した状態にあるという。(平壌支局) [朝鮮新報 2010.9.24] |