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「15年前より深刻」な新義州水害 復旧作業 「同胞の支援が力に」

 8月19日と20日、中国東北地方を襲った豪雨と21日からの水豊湖周辺での集中豪雨によって鴨緑江が氾濫し、平安北道の新義州市と義州郡、朔州郡が大きな水害に見舞われた。新義州地区は1995年にも大きな水害があった。現地の住民は15年前よりも被害が甚大で深刻だと話している。

飲料水確保に支障

水害直後の威化島 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 新義州一帯では7750世帯以上の住宅が全壊や半壊、浸水した。数百棟の生産関連施設と公共建物も全半壊した。

 平安北道水害防止対策連合指揮部のホン・ジョンホ責任者(46)によると、8月30日までに多くの住民が自宅に戻った。自宅が倒壊してしまったり、その恐れがある住民は安全な施設で避難生活を送っている。

 現地では、国内の各道と省、中央機関から送られた食糧と国際機構から送られてきた食料品を供給している。

 今回の水害により、新義州市民に飲料水を供給する水源地の各ポンプ場が浸水したり、建物の壁が破壊され数十台の設備が使えなくなった。これによって、住民向けの飲料水確保に支障が出ている。

 現在は飲料水を病院、託児所と幼稚園を優先に、被災地住民に供給する対策を取っている。工場、企業所で使用していた揚水設備を飲料水の供給に回すようにする一方、水の消毒剤を住民世帯に供給した。一方、国際機構から送られてきた浄水器も積極的に活用されている。

 道の衛生防疫部門では伝染病を防ぐための努力が続いている。大学や企業の寄宿舎など集団で生活する住民らを優先に、一般住民に対する予防接種を9月初旬に終えた。関係者は、「新義州地区は人口密度が高く、まだ安心はできない。きれいな水が供給されるまで消毒された水の供給に努める」と話している。

 学校も被害を受けた。龍渓中学校(義州郡)をはじめ、4つの中学校と2つの小学校、7つの幼稚園が半壊し、コンピュータなどの備品数百点余りが流失した。教職員の努力と道・市の支援で、なんとか9月1日からの新学期を迎えることができた。しかしながら一部の小学校はまだ復旧途上だ。

農作物収穫ゼロに

崩れた威化島下端里の入口の堤防

 水害のあった地域の大部分が威化島(新義州市の北部)の下端里、上端里など、鴨緑江の下流にある島だ。

 とくに威化島の南部に位置する下端里の被害が最も甚大だった。

 8月21日午前2時、突然氾濫した鴨緑江の水が下端里全体を沈めた。当時、住民の生死がかかる緊迫した状況だったという。緊急出動した朝鮮人民軍の軍用ヘリと船舶によって、下端里の約1千世帯の住民全員が無事に救出され、幸いにも人命の被害はなかった。

 しかし物的損失は甚大である。

 100世帯以上の住宅が全壊し、数百世帯の住宅が被害を受けた。

 全壊を免れた住宅も、壁の一部が崩れ四方にひびが入るなど、復旧には新築するほどの労力と資材が必要だという。

 また、田畑全体が浸水し、稲、トウモロコシ、豆など農作物をまったく収穫できなくなってしまった。

 下端里の農場は、新義州市民向けの野菜生産地でもある。白菜と大根をはじめほうれん草、キャベツ、キュウリ、カボチャ、ナスなどの野菜を市民に供給してきたが、今回の水害で畑がすべて台無しになった。

 下端里農場のチャ・ジョンヨン管理委員長(51)は、「今年は作況がとくに良く、住民全員が喜んでいた矢先の出来事だった。今回の水害は来年の農作にも大きな影響を及ぼしそうだ」と残念そうに話した。

 さらに、牛や豚、ヤギ、鶏をはじめとする畜産物、家畜もほとんど洪水で流されてしまった。

 現在、住民の生活は次第に落着きを取り戻しつつある。

 平壌を含む国内の各地から送られた食糧と衣服、毛布、生活用品などの多くの支援物資が到着している。外国からの援助物資も役に立っている。

 下端里の住民は大きな困難に直面しているが、悲観や落胆はしていない。住民らは、「15年前にも私たちは村を復興した。今回も必ず立ち上がる」と一様に話している。

冬を前に復旧を

 9月初旬現在、威化島の横にあるイム島と義州郡の一部の地域で、浸水した水が完全に抜けきれておらず復旧活動に支障が出ている。水が基本的に抜けた地域では、まず道路を復旧しながら、今後の全面復旧のための準備を進めている。天候が寒くなる前に、水害地区の基本的な復旧を終える目標を立てている。

 復旧作業には国家的な関心が寄せられている。セメントと鋼材、板ガラス、木材、燃油などの建設資材が最優先で保障されている。

 内閣と省、中央機関からは食糧と家庭用品、衣類などが送られている。平壌市、平安南道と黄海南北道など全国から多くの救援物資が送られてきた。

 今回水害を受けた地域の大部分が島であることから、復旧に用いる土が全般的に不足している。関係者によると、今後の復旧作業には大変な労力と資材が必要になると予想されている。

 平安北道水害防止対策連合指揮部のホン・ジョンホ責任者は、内外からの支援と励ましが住民らの大きな力となっていると話す。

 ホンさんは、復旧作業が行われている最中に各国と国際機構から多くの救援物資が届き、とりわけ総聯と在日同胞が積極的に支援してくれていることに触れ、「たいへんありがたく思っている。平安北道の人民を代表して謝意を表したい」と述べた。

 現地では、住民生活の安定に切実な食糧とともに、復旧作業に必要な資材と燃料、テントなどが不足していると呼びかけている。【平壌支局】

[朝鮮新報 2010.9.15]