新義州水害、「生活安定に最善を」 中央水害防止連合指揮部 リ・ジャヨン常務員に聞く |
暴雨と洪水によって朝鮮の各地域が被害を受けている。現在、朝鮮政府と関係機関では被災地住民の生活を安定させるための対策を講じている。特に8月、甚大な被害を受けた平安北道の新義州市と義州郡に対し全国から支援が行われている。8月末に中央水害防止連合指揮部のリ・ジャヨン常務員(65)に会い、平安北道一帯の水害状況と復旧対策について聞いた。 −なぜ新義州市と義州郡が大きな被害を受けたのか。 新義州市と義州郡は鴨緑江の下流地域にある。水害の原因は鴨緑江の上流一帯に多くの雨が降ったことで水位が急激に上昇したためである。 鴨緑江をはさんだ中国の東北地方も多くの被害を受けた。中国東北地方の広大な地域から流れ込んだ水が、鴨緑江に合流したのだ。 8月の初めから鴨緑江上流にある水豊湖が最高水位を超えていた。水豊湖の水は現在も、毎日数千も流れ出している。 また、水の氾濫が朝鮮西海の満潮と重なるという事態が起きた。 鴨緑江の水位が8月21日の夜から高くなり始め、22日の明け方には瞬時に危険水位よりも2メートル以上高くなり、新義州市と義州郡が浸水した。とりわけ新義州市と義州郡の鴨緑江沿岸の11の島が完全に浸水してしまった。 −現在の被害状況は。 多くの農地が水没し、住宅と公共の建物が浸水、破壊された。道路と河川、上下水道網も完全にまひしている。鴨緑江の水位より低い地域にある地域は、水がまだ抜けきれていない状態にある。 中国東北地方と鴨緑江沿岸地域にその後も雨が続いたことで、浸水面積の改善が進んでいない。 −水害被災者の生活保障のためにどのような対策を講じているのか。 当時、明け方に鴨緑江の水位が高くなった。これを緊急で知らせたが、島の住民は避難できなかった。 金正日総書記は朝鮮人民軍最高司令官の緊急命令を発し、駐屯地域の朝鮮人民軍が水害地域の人命救助に動員された。軍用ヘリと船舶によって数千人が救助された。 救援された水害被災者は現在、学校と公共の建物の中で生活している。 8月22日の朝から平安北道の人民が被災民に対し食糧を支援している。 各省、中央機関でも水害地域の復旧に必要な設備と資材を送っている。すでに現地には物資が到着している。 食糧、寝具類、衣類、家庭用品類などの支援物資が8月24日から水害被災者に提供されている。 平安北道と保健省では浸水地域、被災民の生活区域で発生が懸念される疾病と伝染病を防止するための医療救助スタッフを組織して現地で予防治療活動を行っている。伝染病予防薬と消毒薬、疾病治療のための緊急薬品が送られている。 一番重要なことは、水害地域の住民の飲料水を確保することだ。 新義州市の水源地が浸水したことで、地域外から飲料水を運び被災民と新義州市と義州郡の住民に時間帯を決めて供給している。 中国政府もこの地域の水害に関連し、支援を行うことを決定している。食糧とテントなどの救援物資が新義州と隣接した丹東を通じて入ってきている。 祖国訪問中の在日同胞も物心両面で支援を行っている。 朝鮮にいる国連児童基金、世界食糧機構を含む国際機構の代表も水害地域で現地調査を行っている。 −今後の活動について。 全国的な範囲で7月16日から始まった梅雨は、8月末現在も続いている。一部地域での豪雨も予報されている。 中国東北地域と平安北道一帯で引き続き雨が降っており、一日に2度ずつ朝鮮西海の満潮があることから、これ以上の洪水が起きないと予断することはできない。 水害対策連合指揮部では、被害が拡大しないように対策を取っている。 現在は被災民の生活を安定させることが基本である。平安北道の水害被災者はもちろん、全国の被害地域の住民を対象に活動を展開している。10月までには、水害地域の復旧を基本的に完了する目標を立てている。(平壌支局) [朝鮮新報 2010.9.8] |