〈今月の金正日総書記−8月−〉 精力的な経済視察から訪中の途へ |
8月30日、朝鮮中央通信は金正日総書記の中国非公式訪問について伝えた。総書記の訪中は今年5月以来、約4カ月ぶりだ。今回は26日から5日間にわたり、中国の吉林省と黒竜江省のいくつかの都市を訪問した。27日には中国共産党中央委員会総書記の胡錦濤国家主席と長春市で会談、「朝中両党、両国の関係をよりいっそう発展させることと、共通の関心事となる重大な国際および地域問題について虚心坦懐に意見を交わし、完全な見解の一致を見た」(朝鮮中央通信)。 8月に伝えられた金正日総書記の公開活動のうち、経済部門視察は咸鏡南道を中心に7回、また祖国解放65周年を迎えた15日には、ロシアのメドベージェフ大統領に祝電を送った。
チュチェ工業のモデル
8月2日発の朝鮮中央通信は、金正日総書記の2・8ビナロン連合企業所(咸鏡南道)への現地指導の様子を伝えた。 同企業所ではここ数カ月間で、75トン循環型常圧流動床ボイラー工事などを建設。また技術革新により、ビナロン綿の質を向上させた。 総書記は工場の展望計画図の前で解説を聞いた後、垂直紡糸職場、けん切作業場をはじめ企業所内を見て回り生産状況を視察した。 総書記の現地指導報道から一週間後の9日、朝鮮中央通信は、同企業所で現代的なけん切および練条工程が整えられ、生産が始まったと報じた。 企業所では今年5月から建物の改築とインフラ工事を推し進めてきた。また、咸興化学設計研究所(咸鏡南道)、国家科学院咸興分院と連携し、技術的面からの設備の充実が図られてきた。 報道によると、この工程が完成したことによって、良質のビナロン糸と生地の生産を正常化するための土台が築かれたという。 そもそもビナロンとは、朝鮮国内に豊富な石炭石と無煙炭によってつくる合成繊維。2・8ビナロン連合企業所は今年2月に生産設備が一新され、90年代からストップしていた生産が再開されたばかり。 総書記は今年2月に2度も同企業所を訪れた。また3月には現代的なビナロン工場の竣工を祝う咸鏡南道咸興市民大会にも参加している。違例とも言える総書記の連続訪問は、自立経済路線の象徴であるビナロンの「復活」が、現在の経済強国建設の旗印になっていることを、あらためて物語っている。 2日の報道によると、総書記は2・8ビナロン連合企業所に対する金日成主席の指導内容について述べながら、同企業所がチュチェ工業のモデル工場にならなければならないと期待を表明した。 総書記の咸鏡南道での現地指導は、3日、4日にも連続して伝えられた。 3日には、竜城機械連合企業所の先軍鋳物工場と興南肥料連合企業所のガス化プロジェクト建設場、また一般消費財展示会場を訪れ、4日には金野江軍民発電所建設場を視察したと、朝鮮中央通信が報じた。 金野江軍民発電所は現在、完工段階に入っている。金野江上流に巨大なダムが築かれたことで、水力発電によって電力が生産されるだけでなく、付近一帯の農地に、農業用水を供給するとともに、水害被害から保護する役割も担うようになる。 総書記は金野江軍民発電所の完成期日をいっそう早めるために、大安重機械連合企業所(平安南道)などの関連工場が、必要な設備を優先的に供給しなければならないと指摘した、と同通信は報じている。 3度目の「山びこ」鑑賞 朝鮮国内で今ブームを巻き起こしている軽喜劇「山びこ」。1961年に江原道芸術団が創作した作品で、国立演劇団によってリメイクされた。60年代当時、農民らが穀物100万dの生産課題を遂行していく過程がユニークかつ感銘深く描かれている。 金正日総書記も4月と5月に1度ずつ鑑賞し、同作品を高く評価。8月には、人民軍将兵と共に咸鏡南道の咸興大劇場で、地方巡演中の「山びこ」を鑑賞したと、朝鮮中央通信が伝えた。 同22日には、功勲国家合唱団と朝鮮人民軍協奏団、朝鮮人民軍軍楽団、海軍司令部協奏団、空軍司令部協奏団をはじめ軍の芸術団体の芸能人が出演する音楽舞踊大公演「先軍勝利千万里」を鑑賞した様子も報じられた。 そして26日には、世界の注目を集めることになる中国訪問の途についた。(鄭茂憲) [朝鮮新報 2010.9.8] |