〈今月の金正日総書記−7月−〉 軍事的緊張の中でも経済重視 |
南の哨戒艦「天安」号沈没事件と関連して、国連安全保障理事会が関係国の直接対話と交渉による平和的解決を奨励するとした議長声明を発表(7月9日)したにも関わらず、米国と南朝鮮は朝鮮への軍事的圧力を強め、朝鮮半島情勢は極度の緊張状態にある。しかし、金正日総書記は連日、人民生活向上に直結する各地の工場、企業所などを訪れている。7月、経済分野では10カ所への視察が伝えられた。
朝鮮最大の干拓地
7月15日の朝鮮中央通信は、金正日総書記が大渓島干拓地(平安北道)を現地指導したと報じた。 「丸々一つの郡の耕地面積に匹敵する耕地」(6月30日発朝鮮中央通信)を得るための壮大な干拓地工事は、1980年初頭に始まった。たび重なる自然災害によりう余曲折を経ながらも、朝鮮の干拓地開墾史上最大となる8800へくタールの耕地を新たに生み出し、6月30日に竣工式を迎えた。干拓地のほとんどは農地として利用され、食糧問題解決に大きく寄与することが期待されている。 現地を訪れた総書記は干拓地を長時間にわたって見て回り、開墾状況を具体的に把握した。建設者と支援者の努力を高く評価し、この干拓地建設は「奇跡の中の奇跡である」と述べたという。そして建設を受け持った平安北道干拓地建設連合企業所に「金日成勲章」を、大渓島干拓地設計図に「金日成賞」を授与するよう提案した。 月末の30〜31日には、慈江道内各経済部門の各所を相次いで現地指導した様子が伝えられた。 30日の報道によると、CNC(コンピューター数値制御)化のモデル工場である江界トラクター総合工場、将子江工作機械工場、9月紡織工場を見て回った。翌日には、江界市内の軽工業部門の各工場を視察したと報じられた。新設された将子山総合食料工場に始まり、江界基礎食品工場、江界高麗薬加工工場を現地で指導した。 また同日、総書記が熙川青年電機連合企業所(慈江道)を訪れ、同企業所が新たに製作した電気製品とその生産状況を視察したと伝えられた。 総書記は、「短期間に最新技術に基づいた現代化、科学化を実現し、新たな技術を積極的に研究、開発して電気製品の生産で画期的な転換をもたらした」と評価した。 総書記の農業関連、軽工業部門の現地指導に呼応するように、労働新聞8月2日付は社説で、「もう一度軽工業と農業に拍車を掛けて、意義深い今年に人民生活で決定的な転換を起こそうという共同社説が示した課題を遂行することで、9月上旬に開催される朝鮮労働党代表者会と10月の朝鮮労働党創立65周年を、高い政治的熱意と輝かしい勤労の成果で迎えよう」と強調した。 朝鮮戦争の歴史的勝利称え 朝鮮戦争勝利57周年を迎え、7月27日に催された功勲国家合唱団の戦勝節慶祝音楽会を金正日総書記が鑑賞したと朝鮮中央通信が報じた。 25〜28日に米国と南朝鮮は「天安」号事件を口実に原子力空母まで動員して、朝鮮東海で大規模な軍事演習を実施した。 そのさなかの26日、平壌体育館では朝鮮戦争勝利57周年を記念する中央報告大会が開催された。 大会では朝鮮国防委員会副委員長である金永春人民武力部長が報告。「米国は、自らが起こした侵略戦争の『6.25』の後には先軍朝鮮の勝利の『7.27』があることを知るべきである」と強調した。 27日の音楽会で出演者たちは、多彩な演目を通して、米国と南朝鮮の好戦勢力から祖国を守り抜く意志を表現した。 公演を鑑賞した総書記は、朝鮮戦争での歴史的な勝利は、どんな力も自主、独立、社会主義へと進むわが人民の前進を阻めないことを実証したとし、金日成主席の業績は朝鮮の歴史と共に永遠に不滅であると述べた。(鄭茂憲記者) [朝鮮新報 2010.8.21] |