〈月間平壌レポート -10年7月-〉 9月に向けた雰囲気作り |
話題の遊園地、大盛況 【平壌発=姜イルク記者】夜の凱旋門付近に「キャーキャー」という悲鳴が響きわたっている。6月1日に全面改装オープンした凱旋青年公園遊園地が大盛況。6月の1カ月間に8万人が訪れた。現在も入場規制が敷かれている人気ぶりだ。月曜を除いて毎日19時から0時まで営業している。
フリーフォールの特徴
遊園地のオープンは1984年。改装前の営業時間は午前10時から19時だった。昨年から夜間営業の遊園地としてニューアルするための工事が行われた。総書記は同所を今年4月に現地指導した。遊園地の従業員らが人民により良い文化生活を提供するよう指示したという。 客層は小学生からお年寄りまで様々だが、青年らが多数を占めている。 工場、企業所や人民班を単位にして入場整理券が配られ、これを持っていないと入場できない。 記者の周辺には、2度行ったことがあるというひともいるし、まだ1度も行ったことがないひともいた。明日行くことになったとはしゃぐ平壌ホテル従業員の姿が印象的だった。 さきに遊園地を訪問した「先輩」たちは、「女性はスカートは履いていくな」と助言する。実際にスカートでの入場は禁止されている。 ゴーカードやメリーゴーランド、ゲームセンターなどを除けば乗り物はかなりハードなものとなっている。観覧車など過去の「ゆるい乗り物」はすべて撤去された。 遊園地の従業員によると、医者も常駐しており、園内では一切禁酒となっている。ハンバーガーや飲料などを販売する園内のファーストフード店では酒類を一切扱っていない。
遊園地の乗り物のうち、バイキングやフリーフォール、ジェットコースターは日本語で訳せるが、3つの軸が常時に回る回転もののアトラクション(直訳すると3重回転盤)など日本では見られない乗り物もいくつかあった。
遊園地の従業員によると、一番人気があるのは寝た状態で乗るジェットコースターと高さ53メートルのフリーフォールだ。 ここのフリーフォールの動きには様々なバージョンがある。大きく2つに分けると、徐々に頂点まで上がってそこから地上10メートル付近まで急降下、そこからまたバネのように上昇と下降を繰り返すバージョンと、地面からいきなりものすごいスピードで地上40メートル付近まで一気に上がって急降下するバージョンがある。 時間帯によっては1つのバージョンしか営業しないので、遊園地訪問者どうしの「話題」がかみ合わないこともある。 在日同胞らもここを訪れている。初めて祖国を訪問した朝鮮高級学校生徒は「日本と変わりない」と感想を述べ、幾度も訪れている同胞は「遊び場所が増えた」と喜んでいた。 もうひとつのスポット 6月末から朝鮮中央テレビは、「青春の希望と爛漫が花咲く遊園地」というタイトルで遊園地を紹介する特集番組を連載放映した。各アトラクションとそれに乗った客のコメントだけでなく、園内のファーストフード店のメニューまでこと細かく紹介し、「光装飾研究センター」の研究員が登場して遊園地に施された夜景の特徴を学術的に述べたりもした。 遊園地に比べると国内のメディアの扱いが小さいが、市民たちの人気を呼んでいる「もうひとつの夜のスポット」がある。金日成広場前の大同江で毎週土曜日夜8時から始まる「噴水夜会」だ。 噴水は今年の太陽節(4月15日)を契機に設置された。音楽に合わせて踊る噴水が七色の光でライトアップされ、噴水がつくる映写幕に人工衛星発射などの映像などが写しだされる独特の夜会だ。 うわさが広まり、大勢のひとが集まっている。 政治的にも、9月上旬に開かれる朝鮮労働党代表者会を「経済建設の成果」を達成して迎えようと全国が沸いている。6月23日付の朝鮮労働党中央委員会政治局の決定書は、党代表者会召集の目的を、「朝鮮労働党最高指導機関選出のため」としている。 労働新聞は6月30日付社説で「党代表者会を高い政治的熱意と輝く労力的成果で迎えよう」と呼びかけ、7月に入ってからは4大主要工業部門(金属、石炭、電力、鉄道運輸)の工場、企業所などで決起集会が相次いで行われた。農業、軽工業部門では「革新と増産がなされている」と連日報道されている。 党代表者会に向けた雰囲気作りが多方面にわたって進められている。 [朝鮮新報 2010.7.28] |