韓相烈牧師の発言(要旨) 「同族間の戦争防ぐべき」 |
22日に行われた記者会見での韓相烈牧師の発言要旨は次のとおり。 訪北の動機 5.18光州抗争30周年を迎えて、私の心は苦しかった。 抗争当時、故郷の全州で逮捕され、光州で軍事裁判を受けた。朴正煕が死に、民主化の春が来ると思っていたが錯覚だった。なぜか。それは民族が分断されているからだ。統一が実現してこその民主化であり、統一と民主は一体だと感じた。 米国の光州抗争への介入を知ってからは、自主化の課題が出てきた。自主、統一、民主こそが民族の歴史的使命だと知った。 その後、民族の一員として、信仰人として統一・自主・民主の社会が開かれるよう祈り、そのために実践を続けてきた。しかし、いまだ統一を成し遂げられずにいることを常に申しわけなく思っていた。 李明博が大統領になってからは、彼の反民主、反自主、反統一、反民族的なふるまいを見ながら、過去のどんな時代よりも歴史の前に恥ずかしさを覚えた。 とくに、「天安」号沈没事件を見ながら深く悩むようになった。 4月30日から5月11日まで光州の5.18墓地で行った断食祈祷の最中に神の声を聞いた。それは、6.15を救い出し、分断の障壁を崩し、統一平和の十字架を自ら背負うというものだった。 同族同士の戦争を防がなくてはならない。自分の体が統一のために少しでも役立てば。そう祈って、和解と平和、統一の使節、希望の伝導者としての一歩を踏み出し、平壌行きを決断した。 文益換牧師が1989年、「不法」訪北してから21年の歳月が流れたが、今度は自分が「不法」に平壌を訪れたという現実が悲しい。しかし、そうするしかなかった。 6.15共同宣言発表10周年を迎え平壌で祝典を開くことになっていた。李明博政権がわれわれの平壌訪問を阻んだからといって、ただ黙って座っていることはできなかった。 6.15の生活力を体験 2000年6月、金大中元大統領と金正日国防委員長が空港で手を取り合い熱く抱擁する場面が今でも目に浮かぶ。 分断の歳月は長かったが、南北首脳の出会いによって6.15の新しい歴史が始まった。 私は民間レベルの統一運動に従事する一人として、6.15時代の生活力を深く体験した。6.15以前に訪北は1回だけだったが、6.15後は民間代表団の一員として合法的に40余回の訪問を果たした。 われわれは一つになるために必ず会うべきだ。6.15によって南と北が一つになり、緊張が緩和され平和の機運が定着するようになった。 「天安」号事件は嘘の決定版 しかし現在、朝鮮半島には戦争の暗雲が立ちこめている。 神は嘘つきをもっとも嫌う。李明博大統領はこの間、あまりにも多くの嘘をついてきた。 李政権は6.15を明示的に否定したことはないと言っているが、「非核・開放・3000」や「グランドバーゲン」それ自体が6.15に反するものだ。北の体制を否定し、冒とくする発言をすること、民族共同行事の開催を阻んだことが6.15の否定でなくて一体何なのか。 李明博式の嘘の決定版が「天安」号沈没事件だ。韓米同盟における自身の主導権を維持しようとする米国と、事件を6.2地方選挙に利用しようとする李大統領の合同詐欺だといえる。6.15共同宣言と10.4宣言が順調に履行されていたら、このような事件は起こらなかっただろう。 事件の真相が明らかにされるべきなのは当然だが、重要なのは事件に対する原則的な責任は李政権にあるということだ。 民主化の底力 南の民心は6.2地方選挙の結果が表している。私は南の同胞たちを誇らしく思う。 「北風」を利用しようとした保守勢力が惨敗し、民主改革勢力が大勝した。南の同胞はこれ以上、李大統領の嘘と脅迫、抑圧に左右されない。 北に対する考え 10数年間にわたる出会いと交流を通じて感じたことがある。それは、北の祖国は真に平和を望んでいるという事実だ。今回も、戦争の危機の中で彼らの平和への意志を確認することができた。 私は今、「親北」発言をしている。しかし私が言う「親北」とは、北を深く理解し、多様な見解と観点があっても同胞愛でともに歩む「親北」だ。われわれは常に「親南」「親北」で一つになるべきだ。 怖いものは何もない 私は信仰上の良心から、民族的な良心から平壌訪問の決断を下した。北がもし許可しなくても必ず北の地を踏む、平壌で懐かしい北の同胞たちと会いたい、どんな方法を使ってでも必ず平壌に入る、と。 ここに来る前にすでに遺書を書き残してきた。6.15を生かし、統一と平和に一身を捧げると決断した以上、怖いものは何もない。 板門店通じて帰還 8月15日、板門店を通じて南の祖国に戻るつもりだ。 1945年8月、祖国は大国の手によって2つに分断された。いまだ統一されていないために真の解放はなし遂げられていない。8月15日に統一の願いを胸に抱いて軍事境界線を越えたい。 5月18日を逆にすれば8月15日になる。5.18をきっかけに今回の平壌行きを決めたので、平壌訪問は8.15で締めくくりたい。 北に滞在する間、各地を訪ね、北の同胞と直接会って、6.15を祝い歌って踊りたい。戦争を防いで平和を守ろうと、全身で訴えたい。 [朝鮮新報 2010.6.25] |