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ボクシング日本フェザー級王者決定戦 李冽理選手 初防衛戦で完勝

目指すは世界タイトル

 既報のように、朝鮮大学校出身でボクシング日本フェザー級王者の李冽理選手(28、WBA世界ランク14位、横浜光ジム所属)が5日、後楽園ホールで行われた日本王者決定戦で、同級1位の天笠尚選手(24、HS山上ジム所属)を下し初防衛に成功した。結果は3−0(97−94、98−93、98−93)と大差での判定勝ち。李選手のプロ戦積は、これで18戦16勝(8KO)1敗1分けとなった。

必ず勝つ

強打を打ち込む李冽理選手

 アウトボクサーの李選手に対し、長身をいかしてどの距離からも強打を打ち込めると定評の天笠選手は、まさに「最強挑戦者」。序盤には、近距離から積極的に攻撃する天笠選手に詰めよられ連打をくらう場面も見られた。また、打撃戦にもつれこむと、両者ほぼ互格の闘いを繰り広げる一幕も。

 流れが変わったのは中盤から。相手の動きを見切った李選手は、前後左右への巧みなフットワークで独自の間合いと距離を作り出し、得意のアウトボクシングを展開。ワンテンポ速い攻撃で一瞬の隙をつき確実にヒットを決め、完全にペースをつかみ返した。

 7R、相手をたびたびコーナー隅に追い込み右ストレートを中心とした激しい連打をあびせると、応援団のボルテージは最高潮に。客席からはいっそう大きな歓声が湧き上がった。

 しかし最終ラウンド。スリップで一瞬リズムを乱した李選手に、猛反撃にでた天笠選手の右フックが直撃した。李選手は、左目の上から出血したが、最後まで決定打を許すことなく果敢な攻防を続け、王者の貫禄を見せつけた。

 李選手は試合後、「初の防衛戦で、正直プレッシャーもあったが、ここで勝ってこそ真の王者を名乗れると思い、とにかくベルトを死守する一心で闘った。努力を重ねてきただけに、この結果がとてもうれしい」と安堵の表情を見せた。

 朝大在学中、李選手のボクシング指導にあたった朱一助監督は、「冷静な試合運びだった。なにより『必ず勝つ』という強い闘志が伝わってきた。朝大卒業生として、同胞らに大きな勇気を与えることができたのではないかと思う。実力的にも十分世界に通用する選手なので、信念を持って世界に挑戦していってほしい」と語った。

応援団に支えられ

「必勝! 李冽理!」と書かれた赤い紙を掲げて声援を送る応援団

 この日、応援にかけつけたのは「李冽理選手応援会」(今年4月発足)をはじめとする同胞、関係者ら約300人。応援団には「必勝! 李冽理!」と書かれた赤い紙が配られ、観客らは始終それを両手に高く掲げながら、「リョルリ! リョルリ!」と、熱い応援コールを送った。

 日本王者になる以前から李選手に注目していたという朴昭暎さん(25、横浜市在住)は、「(李選手が)日々強くなっていく姿に力をもらっている。『応援会』を筆頭に、今後も地域をあげてバックアップしていきたい」と語った。

 試合後のインタビューで李選手は、「応援団に支えられ、勝つことができた。本当に感謝している。これからも試合に勝つことで恩返ししていきたい」と述べ、「期待に応えるためにも、今日の防衛戦を東洋太平洋、世界(王者奪取)につなげていきたい」と話した。

 一方、同じ朝大出身で、11日に開幕したサッカーのW杯南アフリカ大会に朝鮮代表として出場している鄭大世選手については、「同胞のために勝つという気持ちで試合に挑み、世界を舞台に羽ばたいでほしい」とエールを送った。(文=周未來、写真=金里映記者)

[朝鮮新報 2010.6.16]