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「天安」号沈没事件 朝鮮国防委が記者会見 北攻撃説を全面否定

「魚雷残骸物はねつ造」

記者会見した朝鮮国防委員会の関係者

 【平壌発=李相英記者】朝鮮国防委員会が「天安」号沈没事件に関連して5月28日、平壌で記者会見を開いた。記者会見を通じて国防委員会は、今回の事件が「南朝鮮当局がつくり上げたねつ造劇、謀略劇」だとする立場をあらためて表明した。そして艦船の沈没が北の魚雷攻撃によるものだという南側の主張の虚偽性は「彼らが出した物証自体がはっきりと証明している」と、南側の主張を全面的に否定した。

 会見に臨んだ国防委員会の朴林銖政策局長(朝鮮人民軍少将)は、南朝鮮当局が北の魚雷攻撃による沈没説の「決定的証拠物」として提示した魚雷の残骸物にマジックで書かれた「1番」という文字について、「朝鮮で武装装備の数字表記は『号』を利用しており、いかなる場合でも『番』とは表記していない」と明らかにした。

 また、「われわれは武装装備に機械で番号を刻んでいる」ことも併せて明らかにし、その「証拠」はねつ造されたものだと強調した。

 魚雷残骸物の形が北の輸出用武器パンフレットに載っている設計図と同じだという南側の主張についても、「そのようなパンフを外部に出したことなどない」と述べた。

 続けて、武器を輸出する場合、パンフに軍事機密である設計図を具体的に明記することなどありえないと強調し、パンフに基づき魚雷推進体を北側のものだと断定した「調査結果」の矛盾点を指摘した。

記者会見には国内外の記者、駐朝各国外交官と武官、国際機構代表らが参加した

 魚雷推進体に関連しては、「1400トン級の軍艦を真っ二つにするくらいに激しく爆発した魚雷は粉々になり、形も残らない」とする見解を示した。

 朴林銖局長の発言に続き、朝鮮人民軍のリ・ソングォン大佐が「天安」号沈没事件に関連して南側が提示した証拠物の疑問点を映像資料を用いて指摘した。その後、記者からの質問に答えた。

 この日の記者会見には国内外の記者と駐朝外国大使館の関係者など100人を超える人々が参加した。

「検閲団が行けば助言も」

 国防委員会検閲団の派遣問題について朴林銖局長は、「南側が艦船沈没の原因が北の魚雷発射であると主張していることから、当事者が現地へ行ってその物証を直接確認することが目的だ。問題解決のために、これより妥当な方案がどこにあるというのか」と述べた。また、南側がこれを拒否しているのは、その証拠に妥当性がないからだと強調した。

 そして南側が検閲団を受け入れる決断を速やかに下すようあらためて求めた。

 また、「検閲団が現地に行ったなら、多くの問題を解明できたと考える。わが方にも有能な船舶専門家がおり、人工衛星を打ち上げる国には工学、金属、化学分野の強力な専門家も多い。もしわれわれの検閲団が南側へ行ったなら、船がなぜ沈んだのか南側に良い助言もできたに違いない」と話した。

 さらに、南側が検閲団を受け入れるなら、これを北南の対話、接触、通行、通信などを遮断した措置とは別の問題として対応するという立場を明らかにした。

 今後の真相糾明については、艦船が真っ二つになった部分にあったガスタービン室に対する調査が大きな意味を持つとし、南朝鮮当局がこの調査結果を至急公開すべきだと主張した。

 朴林銖局長は、国連軍司令部と軍事停戦委員会を通じた調査を主張している南側の動きについても非難。停戦委員会の一方である朝鮮人民軍と中国人民支援軍側が1994年に撤収し、委員会がすでに存在しないにもかかわらず、これを主張しているのは欺まんだと指摘した。また、委員会が存在するとしても、その調査権限は非武装地帯の中に限定されており、今回のような任務は遂行できないと主張した。

 記者会見の全過程はこの日の夜、朝鮮中央テレビで放映された。

[朝鮮新報 2010.6.2]