top_rogo.gif (16396 bytes)

〈月間平壌レポート -10年4月-〉 希望を胸に新たな出発

人民生活改善も着実に

 【平壌発=李相英記者】卒業、入学、新たな職場に新たな生活―。春はさまざまな希望にあふれている。4月の平壌にも、それぞれの新たな出発に胸躍らせる人びとの姿があった。国家的記念日が相次ぐ4月、首都はいつにも増してにぎやかな雰囲気に包まれた。

圧巻の祝砲夜会

華やかな祝砲夜会の一場面

 金日成主席生誕98周年にあたる今年の太陽節。暖かな日差しに包まれ、色鮮やかな花が咲き誇るはずの平壌は例年にない寒さの中にあった。「花が咲いていない4月 15日なんて最近では記憶にない」と、本紙平壌支局の現地スタッフは少し残念そうな表情を浮かべた。

 もっとも、中旬以降は気温も上がり、春本来の姿を取り戻している。

 天気の問題を別にすれば、毎年と変わらない華やいだ4月だった。太陽節以外にも金正日総書記の国防委員会委員長推戴記念日(4月9日)、朝鮮人民軍創建記念日(4月25日)が重なる4月は、もっとも明るい雰囲気に彩られる時期だといえる。

 4月15日を前後して市内では4月の春人民芸術祝典や金日成花祝典、音楽会などさまざまなイベントが催された。

 一連の行事のハイライトを飾ったのは14日、チュチェ思想塔周辺の大同江畔で行われた祝砲(花火)夜会「主席の願いが花開くわが祖国」だった。

 祝砲夜会が行われるのは今回で4回目で、今や名節行事の定番となった感がある。

 玉流橋と大同橋に挟まれた空間が舞台。今回は花火に加えてレーザー光線や噴水などの要素も導入され、従来のものよりもさらに大掛かりになった。

 とくに、大同江の川面に設置された噴水は本番前から巷の話題になっていた。噴水によって作り出された水のスクリーンに映像や文字が映し出され、湧き上がる色鮮やかな水の筋が音楽に合わせて踊るように姿を変えるたび、観覧席からは歓声が上がった。

 初めて生で見る祝砲夜会は圧巻の一言。大小の花火をただ打ち上げるだけでなく、音楽やレーザー光線といった効果と組み合わせ、テーマ性を持った一大芸術作品に昇華させるのは朝鮮ならではだろう。

 大同江畔に集まった数十万の市民や海外同胞、外国人ゲストらは光と水と音楽が織りなす一夜の幻想的なショーに酔いしれた。

「三日浦」にならう

 第2・4半期の初月となる4月、最高人民会議第12期第2回会議と内閣拡大会議という、経済分野の当面課題を提示する重要な会議が相次いで開かれた。当然ながら、両会議とも人民生活の改善を焦眉の問題として取り上げた。

 生活を豊かにするには、まず良質なモノを多く生産して、それを廉価で販売するなど人びとの需要を満たすことが必要になる。そのための取り組みの一つに、「三日浦」式食料工場の建設がある。これは、平壌の三日浦特産物工場をモデルにした総合食料工場を各道に建設するというもので、地元の特産物に基づいた原材料の確保が特徴だ。

 取材で足を運んだ咸鏡南道・咸興市と江原道・元山市でも新設された工場が操業を始めていた。生産が本格的な軌道に乗るまでもう一歩という状態だが、製品に対する地域住民の評判は上々で、工場関係者らは今後に向けて自信を見せていた。

 強盛大国の扉を開く2012年に向けた取り組みのうち、メディアで盛んに取り上げられているのが慈江道・熙川発電所の建設だ。総書記が「熙川速度」と名づけた現地建設者らの奮闘ぶりは、全人民がならうべき模範として称えられている。

熙川での公演

 その熙川発電所の建設現場で4月20日、金剛山歌劇団のメンバーを中心に構成された在日朝鮮人芸術団が公演を披露した。

 同芸術団が行っている祖国の経済建設現場での慰問公演の一環。平壌からバスで2時間半の道のりを記者も同行した。

 公演の舞台は建設中の2号発電所のダムの上に設けられた。2月末、同地を初めて訪れたときは展望台から眺めるだけだったが、今回は建設現場に足を踏み入れた。

 山の谷間を塞ぐように積み立てられていくダム。舞台が設置された部分は土台から40bほどの高さはあろうか。周囲は見渡すかぎりの雄大な景色で、重機の動力音が響き渡り、人や車両が忙しなく行き交う建設場の活気を体感できる。大自然を開拓する人間の力を目の当たりにするようだった。

 「建設はかなり速いスピードで進んでいる」と工事関係者らは話す。

 今回の訪問は偶然にも、金正日総書記が同地を視察に訪れた(4月17日)直後と重なった。関係者によると、上流の1号発電所や水路の視察が主で2号発電所は車で通過しながらの視察にとどまったというが、今年2回目、通算4回目となる最高指導者の現地指導が現場の士気をさらに高めたことは間違いない。

 在日朝鮮人芸術団の公演は舞台と客席が一体となって大いに盛り上がった。出演者らは「祖国の人びとの息づかいを肌で感じることができた」「舞台に立ったわれわれが逆に力づけられた」と感極まった様子だった。観覧した労働者からも公演に対する賞賛が多く聞かれた。

 「心と心を通い合わせるのが芸術」という李龍秀・金剛山歌劇団団長の言葉に納得した。

 「強盛大国と強盛総連」。祖国と日本、それぞれの舞台で奮起を誓い合う姿が熙川の地にこの日の青空のような清涼感を残した。

[朝鮮新報 2010.5.6]