そこが知りたいQ&A−北南対立が伝えられているが? |
北の関係改善の立場は一貫 初のア太・統一部接触に注目
年始から北南間の動きがあわただしい。対立に関するニュースが伝えられる一方で対話を模索する動きもある。これまでの経緯と展望をQ&Aでまとめた。
Q 朝鮮人民軍砲兵区分隊が1月27日から西海の「北方限界線」(NLL)付近で初となる砲実弾射撃訓練を実施したというが。 A 朝鮮人民軍総参謀部は同日、報道を発表し、「定例」訓練を行った事実を認めながら、「わが方の水域で計画的に行う訓練については誰も論じる余地がない」と強調。今後も訓練を続ける意向を明らかにした。 双方の領海権主張が重なる西海水域では昨年11月にも北南間で武力衝突が起きた。その後も南側は、NLL以南の水域を自らの領海として既成事実化しようと、軍事的挑発行為を繰り返した。昨年12月17日には西海前線の海上で3回にわたり水中爆発演習を行った。北側は自らの面前で行われる意図的な挑発行為を激しく非難。朝鮮人民軍海軍司令部は12月21日、境界線水域を「平時海上射撃区域」に設定すると宣布するスポークスマン声明を発表した。訓練に先立っては、1月25日から白椏付近の海域を「航行禁止区域」に指定していた。 Q 砲実弾射撃訓練が注目された理由は。 A 北が砲実弾射撃訓練を開始した日は、南の延坪島海兵部隊がこの海域での射撃訓練を予定していた日だった。しかしながら、この動きと訓練実施の関連は不明。北側はあくまで「定例の訓練」だとしている。 ちなみに、南の訓練は急きょ「延期」となった。1月29日発連合ニュースによると、その理由について南の軍関係者は「気象条件の悪化」だと説明している。 北南の軍事的対立が尖鋭化するのには他の背景もある。南当局は新年になってからも北との対決姿勢をあらわにし、北側はこれに激しく反発したという経緯がある。 北の「急変事態」を想定して南当局が作成した「非常統治計画」と関連し、朝鮮国防委員会スポークスマン声明は報復聖戦を開始すると宣言した。 Q 関係改善を主張しながら一方で強硬姿勢を示す北の「真意」がわからないとの指摘もある。 A 新年恒例の3紙共同社説でも言及されたとおり、北は6.15共同宣言、10.4宣言に基づき北南関係を改善するという立場は「確固不動」だという。北はこのような立場を機会あるごとに繰り返しせん明している。 一方、北の尊厳を傷つけたり平和を害する行為には譲歩しないというのも、北の原則的立場だ。 朝鮮人民軍総参謀部スポークスマン声明(1月24日)は北の原則的立場を凝縮し、次のように指摘している。 「歴史的な6.15共同宣言と10.4宣言に基づいて北南関係を改善し、祖国統一の前途を開こうとするわれわれの立場は確固としているが、反北対決策動を決して傍観しない」 南のメディアは北の対南政策の「2面性」を云々しているが、はっきりしないのはむしろ南の立場だ。昨年8月から続いている北の関係改善の呼びかけに対する反応は明確ではない。6.15に対する立場も示されていない。 今までの北南関係の大きな流れを見ても、北が南を先に挑発したのではなく、南の対決姿勢に北が応じている、という構図になっている。 Q 対話は行われているのか。 A 開城工業地区活性化のための実務接触が1月と2月の2度にかけて行われ、労働者の宿舎建設や賃金引き上げなどの問題が上程された。合意には至らなかったが、引き続き協議することにした。この地区の3通(通行、通関、通信)問題は軍事実務会談で扱うことにした。この軍事実務会談は、北が開催を提案した状態で、南は開催時期を「適切な時期」に修正提案するとしている。 また、金剛山・開城観光の再開をめざす朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太)と統一部の接触が8日に行われる見通しだ。 Q 今後の北南関係の展望は。 A 最近、北は李明博大統領に対しては名指し批判をいっさいしていない。北が関係改善の障害物と見ているのは、「先制攻撃」発言をした金泰栄国防部長官をはじめ、統一部、国家情報院、外交通商部の最高責任者4人。彼らに批判を集中させ、退陣を求める論調が目立つ。北侵戦争を挑発するような現国防部長官などをそのまま放置していては北南関係を改善することはできない、というのが北の論理だ。 注目されるのは、金剛山・開城観光をめぐるア太と統一部の初接触だ。観光事業は、昨年8月にア太と南の事業主の現代グループの間で再開に合意したが、統一部が当局の頭越しで合意がなされたことに反発して実現されていない。 北は、「観光事業の再開は、南当局の改善の意志をあらわす試金石」「再開されれば関係改善に突破口が開かれる」(労働新聞3日付)と強調している。今回の接触が今後の北南関係を占う大きな判断材料になるだろう。(姜) [朝鮮新報 2010.2.5] |