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「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」東京朗読会より

未来に、境界線は引かないで

ハルモニはまだ若い頃、
鮮人と呼ばれ、チョゴリに墨を投げつけられた。

オモニはセットンチョゴリを着るたび、
朝鮮学校ぼろ学校、はやされながら通学した。

娘は
バスに乗り、電車に乗り、
チマ・チョゴリを裂かれることを恐れながら、
ハッキョに通った。

そして今、
子供たちは未来を学ぶこの場所に
境界線を引かれようとしている

アイデンティティーという言葉が
マスコミでもてはやされる、ずっと前から
ウリハッキョでは教えられていた。

「自国の言葉、歴史、文化を愛しなさい」

ハラボジ、ハルモニたちが
奪われた言葉、姓名を取り戻した時
何よりもまず始めたのは、
子供たちの学校を作ってあげることだった。

畳六畳の貧しい部屋で、
産声を上げたウリハッキョは
隙間風の入る古い教室に移り
そして
同胞たちの思いを吸い上げ
校舎建設の槌音を響かせ
全国に広がっていった

ウリハッキョには多くの伝説が残っている

その伝説で語られるのは
白馬に乗った王子様でもなく
魔法使いやお姫様
超能力者でもない

「金のある者は金を、力のある者は力を!」

廃墟の祖国から送られてきた支援に涙し
血のにじむようなお金を持ち寄るハラボジ
貧しい食費を切り詰めるオモニ
故郷の年老いた母親から
形見にもらった金の指輪を差し出すハルモニ
建設現場で汗を流すアボジたち

ヒーローたちが建てたウリハッキョは
アボジ、オモニの青春を育み、
息子と娘の夢を育み
そして今、
子供たちの未来を育んでいる。

半世紀を越える長い歳月
ウリハッキョを
時に嵐が襲い
時に冷たい雨が降り続いても
子供たちの笑いが途絶える事は無かった。

ウリハッキョを訪ねたら
心を開き、
子供たちの笑いに耳を傾けてください。
子供たちの笑いに目を細める

アボジ、オモニたちを見てください。
そうすれば必ず
その傍らで控えめに微笑む
心優しい人々を見つけるでしょう。

チョゴリが切り裂かれた時
言葉を失くした生徒を抱き
怒りに体を震わせた女性
弱者の痛みは弱者が分かると
駆けつけてくれた車椅子の青年
大人と同じ通勤定期で通う
子供たちに心を痛め
署名を呼びかけてくれた男性

彼らは
子供たちの笑いを守る、
ウリハッキョのもう一人の主人公。
この国の良心と善意で
子供たちの未来を共に見つめる
日本の普通の人たち

だから子供たちは
まだ見ぬ祖国を愛するように
この国の普通の人たちと共に、
過去ではなく、未来に向かい
自国の言葉、文化と共に
この国の言葉、文化を学ぼうとする。

アイデンティティーという言葉が、
マスコミでもてはやされるずっと前から
ウリハッキョでは教えられていた。

「自分が何者かを知りなさい。
より広い世界に羽ばたくために」

そう
未来が愛する現在は
色々な顔をした自分が
それぞれを愛し、理解し、手を結び
大きく飛び羽ばたこうとするところ

未来は多くの扉を持っていて
その扉を開くのは
様々な歴史を生き抜いた子供たち

だから
子供たちが学ぶこの場所に
境界線は引かないで

あなたたちは
今を生きる大人なのだから、
未来を育てる
大人なのだから。

*ハルモニ国c母、チマチョゴリ穀ゥ鮮の民族衣装(チマはスカートでチョゴリは上着)

 セットンチョゴリ克蛯ノ子供たちが晴れ着に着る虹模様の上着、ウリハッキョ克рスちの学校、アボジ黒メAオモニ黒黶Aハラボジ国c父

(呉順姫)

[朝鮮新報 2010.12.24]