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北海道初中高 同胞医師の援助で インフルエンザ集団予防接種実施!!

生徒への愛、学校への愛

インフルエンザの予防接種を受ける生徒

 ちょうど1年前、日本各地で新型インフルエンザが猛威を振るい、朝鮮学校でも学校閉鎖、学級閉鎖を余儀なくされた。また、薬局での「マスク」や「消毒液」購入が困難になり、インフルエンザによる高齢者や児童の死者も数多く、日本中が震え上がったのはまだ記憶に新しい。

 北海道初中高でも、消毒液を各玄関に置いたり、手洗い・うがい・マスク使用などを奨励するなどの対策をたてたが、結局学級閉鎖が学校閉鎖に移り2〜3週間の臨時休校をせざるをえなくなり、授業や行事にも少なからぬ影響が出た。

 昨年の経験のもと、より効果的な対策を早いうちから模索していた中、学校が所在する札幌市から50キロ離れた苫小牧市で開業医をしている朴繁京医師から今年6月頃に連絡があった。ウリハッキョの生徒・教職員を対象にインフルエンザの予防接種を無償で実施したいとの申し出であった。

 その話を聞いた時は、正直、びっくりした(何百人も…それも無償で…わざわざ遠い所から足を運んでハッキョで実施…)。

 後で話を聞いてみると、朝鮮学校が「高校無償化」から除外されていることに怒りを覚え、自分の専門分野を通して何か手伝えることはないかと考えた時、先述した昨年の状況が頭をよぎってウリハッキョに連絡をくれたそうだ。

 朴繁京医師は、東京で中級部までウリハッキョで学び、その後医学の道を志したそうだ。

 ワクチンについて幅広い専門知識を持ち、常に新しい情報を入手しながら勉強をされている医師でもある。質問をするたびに資料をたくさん郵送していただいた。

 保健体育の教員でありながら、インフルエンザはもちろん、感染症についての深い知識がない私自身も一から勉強をし直した。

生徒を診断する朴繁京医師

 初めての試みで、何から手をつけてよいか試行錯誤の中、まず11月11日に1回目、12月2日に2回目と接種日を決めた。あらかじめ7月に保護者にお知らせを出して希望者を募り、人数確認とワクチンの注文、接種の1週間前には再度確認のお知らせと予診票を配布、その間何度も連絡を取り合いながら、半年の下準備の後にやっと1回目の接種にこぎつけた。

 予防接種は、1、2回目ともに木曜日の午後、病院の休診を利用して実施された。午前の診察を終えるとすぐ、わざわざ苫小牧市から朴繁京医師と6人の看護師が来てくれた。午後2時半開始だが、みんな 12時半過ぎには大きな診療器具とワクチンを持ってかけつけてきた。

 予防接種開始までの空き時間を利用して会場整備、看護師との打ち合わせ、予診票の確認、生徒への説明など万全の体制を整えた。会議室を会場とし、生徒希望者89人、教職員26人、幼児教室ミレ会の子どもたち(就学前の3歳以下)23人、生徒の保護者35人の合計173人に約3時間近くかけてインフルエンザワクチンの予防接種を行った。後片付けを終えると、時計はすでに午後5時半を過ぎていた。

 また、2回目の時には、その他のワクチン(水疱瘡・流行性耳下腺炎・肺炎球菌・子宮頚がんワクチンなど)の予防接種希望者にも原価で実施してくれた。

 帰り際に、身体に関する本はたくさんあるのか、体のつくりがひと目でわかる人体模型が保健室にあれば、もっと子どもたちが身体についてより身近に興味を示すだろうと保健室と図書室を見て助言をしてくれた。ウリハッキョのためにまだまだたくさんのことをしたいとの気持ちがひしひしと伝わってきた。

 今年は例年より早く、しかも北海道、沖縄辺りからインフルエンザが流行しはじめ、日本の学校ではすでに学級閉鎖が多いというニュースを聞くが、ウリハッキョは朴繁京医師のおかげでまだ1人も出ていない。

 本当にありがたいことである。インフルエンザワクチンの集団接種実施は、近年は日本学校でも例を見ないのではないか。それも無償で接種!

 生徒に対するサラン(愛)、学校に対するサラン、同胞に対するサランがなければ、思っていてもなかなか実行に移せることではないと思う。

 朴繁京医師のおかげで、今年は昨年のような最悪の状況は避けられるだろう。(具恵・保健体育教員)

[朝鮮新報 2010.12.22]