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「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」朗読会 東京で約160人が参加

うたの力で共感の花々を

約160人の観客が「無償化」実現の思いを一つにした

 「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」朗読会が12日、東京・新宿にある東京交響楽団クラシックスペース100で行われた(主催=「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」刊行会)。

 「高校無償化」からの朝鮮学校除外に反対する日本市民と在日同胞の詩・歌人ら約160人が参加した。

 開会に先立ち、これまで同胞、日本市民らが各地で行ってきた「高校無償化」除外に反対する集会、デモ、署名活動の様子がスクリーンに映し出された。

 「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」刊行の呼びかけ人である河津聖恵さんが、「本来なら今日は祝賀会が開かれるはずだったが、朝鮮学校への『無償化』はいまだ実現されていない。言葉と魂をめぐるこの危機に声をあげて、無関心な日本市民や政治家たちに語りかけたい。『無償化』除外により、朝鮮学校の生徒たちに決定的な苦しみを与えている。うたが本来持つ『うったえる』力で、この国の冬の野原に多くの共感の花々を開かせていくことを願っている」と話した。

対談を行った四方田犬彦さん(右)と辻井喬さん

 この日、13人の詩人たちが「アンソロジー」にも掲載されている自作の詩を朗読した。はじめに相沢正一郎さんが「ネギを残さないで(日本のオモニから)」、金敬淑さんが「道端に咲く薺に君たちを思う」、石川逸子さんが「少女2」、呉順姫さんが「未来に、境界線は引かないで」、柴田三吉さんが「ちょうせんじんが、さんまんにん」、朴才暎さんが「歌、美しい歌」、呉香淑さんの「『朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー』刊行に寄せて」を昔敬淑さんが代読し、在日3世のピアニスト、崔善愛さんのピアノ伴奏に合わせて披露した。

 次に、詩人の辻井喬さんと、明治学院大学の四方田犬彦教授の対談「人から言葉を奪った者は、それを無償で返さなくてはならない」が行われた。

 対談で四方田さんは、植民地化、「韓国併合」の問題について、「これから近代化を遂げようとする時代に韓国は日本の植民地となり、その中で言葉を奪われたという苦難な時代を生きてきた。それについて日本人は深く考える必要がある」と強調した。

「アンソロジー」刊行の呼びかけ人である詩人の河津聖恵さん

 また、辻井さんは「『無償化』除外が差別であり、恥ずかしい歴史をまたなぞらえることであり、絶対認められないということばかりでなく、言論の自由、思想信仰の自由を除外する動きが日本の政治家の中にある」と批判した。

 アンソロジーの中には、京都朝鮮中高級学校の生徒たちの作品もいくつか収録されている。そのなかから、「私たちにあるもの」(安a葉)、「サムル」(鄭勇成)、「ウリハッキョ」(趙英恵)、「愛するもの」(趙健秀)を東京朝鮮中高級学校の洪裕花さんと李瑛夏さんが代読した。

 当事者である生徒たちの、一日も早い「無償化」適用を求める切実な訴えに参加者から、熱い拍手が送られた。

 次に、詩人の淺川肇氏は以前雑誌「短歌」に自作品を投稿したところ、その内容に「無償化」適用を求める要素が含まれていたとし、却下された体験について語った。同氏はこうした現状を、「日本のジャーナリズムの退廃、能力の低下と喪失」と非難したうえで、雑誌掲載を拒否された短歌「朝鮮学校無償化除外反対」と、あらためて書き直した2首を読みあげた。

 最後に、李芳世さんが「はだかのウリマル」、河津聖恵さんが「ハッキョへの坂」、孫志遠さんが「その日を忘れることができない」、辻井喬さんが「オモニよ」、許玉汝さんが「ふるさと」、四方田犬彦さんが、朝鮮語と日本語で「母国語を学ぶことは、等しく無償であるべきだ」と訴える「朝鮮学校は無料だ」を朗読し、それぞれの思いを詩に込めてうたった。

 閉会のあいさつで司会の朴才暎さんが、「朝鮮学校に通う生徒たちがこれからも日本で健やかに暮らしていけるために、必ず『無償化』が実現されるよう訴えていこう」と呼びかけた。(尹梨奈)

[朝鮮新報 2010.12.17]