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川崎・多文化フィールドワーク 「もっと在日の世界知りたい」

民族教育の歴史について話す金校長

 川崎市の日本学校の学生が夏季の集中授業の一環で行う「多文化フィールドワーク」が10〜12日までの3日間にかけて同市内で行われた(主催=相模原青陵高等学校、相模女子大学高等部、横浜修悠館高等学校)。

 今年で3年目になる同講座の今回のテーマは、「朝鮮の文化に触れ、ルーツを知り国際理解を深めていく」ことだ。3校各担当教員(7人)、東京外国語大学学生(4人)、高校生ら(17人)合わせて28人が参加し、東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターの木下理仁国際理解教育専門員が指導を行った。

 初日は相模女子大の1室に会場を設け、自己紹介から始まり大学生によるプレゼン「朝鮮半島の歴史」や、映画「まとう」上映会、同映画監督の朴英二さんとのフリーディスカッションが行われた。

 2日目は、川崎朝鮮初級学校を訪れた。夏休み中であいにく児童は不在だったが、教室を見て周った後に金龍権校長の話を聞いた。

 金校長は今年が「韓国併合」100年の年であることに触れ、当時から今日までの在日朝鮮人の歴史について話し、解放後、日本政府の不当な差別と弾圧をはね返しながら、朝鮮学校を自らの手で創立して、民族心を守り抜いた過程について分かりやすく説明した。

説明を聞く高校生たち

 また、「朝鮮人に対する差別撤廃運動に多くの日本の人たちが支援を寄せてくれた。これからも互いにもっと協力し合っていこう」と呼びかけた。

 その後、おおひん地区まちなか交流センターで、川崎ふれあい館の職員・金迅野さんと館長の三浦知人さんがそれぞれ、在日1世のハルモニたちが日本で受けた差別と抑圧の悲惨さについて説明した。

 最終日は2日間で学んだこと、感じたことについてグループ別と全体討論が行われた。

 相模原女子大高等部2年の中込茜さんは「今日まで在日の人たちに関してまったく知らなかったことを、この2日間で少しだが知ることができた。日本学校となんら変わらない学習内容なのにも関わらず、朝鮮学校だけ『無償化』から除外されるのはおかしい」と述べ、さらに在日同胞に対する理解を深めていこうと話し合った。

 東京外国語大学外国語学部で朝鮮語を専攻している2年の宇野洋明さんは、「今回のフィールドワークを通じて初めて知ることが多かった。金校長の話や館長の話などを聞いて、朝鮮人に対する差別がいまだに根強く残っていることを、実感した」と話した。(文と写真・尹梨奈)

[朝鮮新報 2010.8.27]