「高校無償化」 日本市民らが文科省に要請 |
公正に判断すれば「除外」ありえない 日本の大学教員らでつくる「『高校無償化』措置を朝鮮学校に適用することを求める大学教員の会」の代表らが11日、文部科学省を訪れ、3日に一橋大学で行われた「朝鮮学校の『高校無償化』問題を考える学習討論集会」で採択された、朝鮮学校に「高校無償化」を求める要請書を提出した。菅直人首相、川端達夫文科相、仙谷由人内閣官房長官宛ての要請書を文科省初等中等教育局高校教育改革PT財務課高校修学支援室の河村雅之専門官が受け取った。要請を終えた後、文科省内で記者会見が開かれた。同会は、3月にも約1000人の大学関係者の署名とともに要請書を提出した。 今回の要請の内容は主に3点。 一行は、朝鮮学校が「無償化」から外された理由として、2003年に定められた大学入学資格の認定基準が転用されていることは不当であると厳しく指摘した。そして、各大学では「個別審査」の枠を通じつつも、ほぼすべての朝鮮高級学校生徒の受験資格を認めているように、すでに朝鮮学校を「高等学校の課程に類する課程」として認定し、それを前提に大学教育を行っていると強調。朝鮮学校除外は日本の大学教育の現状を無視するもので、教育行政の整合性を破壊するものだと指摘した。 また、日本が批准し今回の「高校無償化」政策の理由にも挙げられている「国際人権規約」「子どもの権利条約」は民族教育の保障を規定しているとし、朝鮮学校が制度的に不安定な地位に置かれている現状は両条約の精神に反するものであり、このまま「無償化」から排除することになれば、国際社会の批判を決して免れることはできないと指摘した。 さらに、日本の朝鮮植民地支配時代から続く日本当局による朝鮮人弾圧、民族教育と朝鮮学校への差別について言及し、「韓国併合」100年を迎える今こそ、そうした歴史に対する真の反省と謝罪の立場に立って、過去の過ちを償い現状を変革しなければならないと指摘。日本の世論と政府の一部に根強く見られる排外主義的傾向に決して流されることなく、公正な判断を下すよう求めた。 朝鮮学校を除外させようとする一部保守勢力の動きについて懸念を表した大学教員らは、「民族教育に最も熱心」で、地域住民との交流も深く、「教育の国際化において中心的な役割を担う」朝鮮学校とそこで学ぶ生徒たちがこれ以上差別を受けないよう訴えた。 「朝鮮学校除外は差別」 一方、「朝鮮学校も無償化を! 下町集会」(7月22日、東京・荒川)を主催した日本市民らが3日、文部科学省を訪れ、集会で採択された朝鮮学校への「無償化」適用を求める集会宣言を提出した。菅直人首相、川端達夫文科相宛ての集会宣言は、集会に参加した日本市民、同胞約230人と趣旨に賛同した299人の意思が反映されている。文科省からは初等中等教育局高校教育改革PT財務課高校修学支援室の河村雅之専門官が応対した。 集会宣言は、「私たちは長い間、下町の各地区で、朝鮮学校の学校公開や日常的な交流を通じて、親しい関係を築いてきた。だが、日本社会には在日コリアンに対する差別や偏見が今なお強く残っている」と指摘。「(朝鮮学校除外は)政府自らが差別を助長しているものであり、憤りを覚える。一日も早く朝鮮学校に通う子どもたちが笑顔で通学できるよう、朝鮮学校除外は差別であるとの認識のもと、『無償化法』を適用すること」を強く求めた。 一行は、集会に予想を超える多くの市民が参加したことは、問題への関心の高さを物語っていると強調。右翼団体による朝鮮学校襲撃事件、朝鮮学校生徒への嫌がらせ事件などについて言及しながら、日本政府が「無償化」から朝鮮学校を除外したことで、朝鮮学校と朝鮮人に対する差別や弾圧を助長する結果を招いていると指摘し、一刻を早く差別が是正されるべきだと主張した。 [朝鮮新報 2010.8.20] |