「高校無償化」 東京 69団体主催の緊急行動 朝・日の1千余人が街頭アピール |
「朝鮮学校除外に反対」 「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する緊急行動」が3月27日、東京・渋谷で行われた。1千人を超す日本の市民、在日同胞と朝鮮学校生徒らは、代々木公園イベント広場野外ステージで開かれた集会の後、渋谷駅前などをデモ行進した。多くの人出でにぎわう土曜夕方の繁華街に、「『高校無償化』をすべての高校に!」「共に差別に反対しよう!」「子どもは平等だ!」というシュプレヒコールが響きわたった。
「日本社会の問題」
この日の緊急行動は、「無償化」問題に取り組んできた「立川朝鮮学校(西東京朝鮮第1初中級学校)支援ネットワーク・ウリの会」が、日本人自身の課題として朝鮮学校を排除しようとする動きを許してはならないと呼びかけたことがきっかけとなった。1週間という短期間に69の団体が実行委員会に加わった。 集会は国立市議会議員の上村和子氏の司会で進められた。 まず、松野哲二氏が主催者側を代表してあいさつをし、「差別と排除がなくなるまで共にたたかっていこう」と力強く呼びかけた。次に、在日同胞弁護士の金舜植さんが「無償化」を取りまく現況について報告しながら、朝鮮学校排除の動きの経緯とその不当性について述べた。 続いて東京朝鮮中高級学校、神奈川朝鮮中高級学校の生徒らが発言した。生徒らは民族教育を受ける中で朝鮮人として成長してきたと指摘、朝・日をつなぐかけ橋になりたいと将来の希望を話した。 日本の団体の人士らも発言した。 枝川朝鮮学校支援都民基金の中村正子、世田谷区議会議員の上杉裕之、小金井市議会議員の漢人明子、東京教職員組合の長谷川和男、一橋大学教授の鵜飼哲の各氏らは、朝鮮学校に対する差別をなくすため力を合わせて活動を繰り広げていくことを呼びかけた。 集会では決議文が採択された。 決議文は、▼朝鮮学校の子どもたちの未来をつぶしてはならない▼朝鮮高級学校を「無償化」の対象にするのは当然のこと▼差別をやめ、朝鮮学校への公的助成をすべきだと訴えた。 集会後、参加者らは会場から渋谷駅前を通って神宮前公園までの1.7キロメートルをデモ行進した。 集会呼びかけ団体「ウリの会」の千地建太氏は、「当初は300人集まれば成功だと思っていた。1週間という短期間で予想以上の多くの市民、団体が賛同してくれ、正直、驚いている。『無償化』問題で街頭デモを行ったのは全国的にも初めて。世論を喚起させることの意義はとても大きいと思う」と話した。 参加者の言葉 斉藤ゆうこ(荒川区議会議員) 「無償化」をめぐって活動する現場では、メディアが伝えない世論を常に感じている。地方議会には、政府・国会と異なる意見が存在する。国政を責任もつ人たちがこのような声に耳を傾けるべきだ。 東英明(54、会社員、八王子) 朝鮮高級学校生徒らの訴えを聞いて日本政府に憤りを感じた。朝鮮学校だけを排除するのは言語道断だ。「無償化」問題の賢明な解決は、開かれた日本社会を築いていくうえで試金石になる。 常野雄次郎(32、多摩市) 「無償化」の対象から除外しておいて「第三者機関」を設け朝鮮学校の教育内容を審議するという目的は何か。日本政府は明らかに他の目的をもって朝鮮学校を標的にしている。他民族を否定するこの動きは植民地時代の手法と変わらない。 東本久子(60、杉並区、実行委員会メンバー) 国籍、思想、信条を問わず子どもたちに学ぶ権利を保障することは大人の責任だ。これは世界の常識である。日本政府の態度は差別をあおるものだ。みんなが共生できる社会を築くために声を大きく上げるべきだ。 文愛華(東京中高生徒、高1) 私たちのことを理解し、共にたたかってくれる日本の人たちがこれほど多いのかと驚いた。力と勇気が湧いてきた。朝鮮学校の実情を知ろうともしないで差別する日本政府の態度には憤りを感じる。 [朝鮮新報 2010.3.31] |