「高校無償化」 京都市円山野外音楽堂に900余人が集結 集会とデモ |
「民族差別をなくそう!」
朝鮮学校を支える会・京滋など日朝友好親善に尽力する日本市民らによる「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう!朝鮮学校への攻撃をゆるさない!3.28集会」(主催=3.28集会実行委員会)が3月28日、京都市円山野外音楽堂で行われ、900余人(うち同胞150余人)が参加した。集会後に参加者らは市内をデモ行進し、「民族差別をなくそう!」などと強く訴えた。 集会ではまず、共同アピールの呼びかけ人として、「朝鮮学校を支える会・京滋」の仲尾宏さん、フェイスプロジェクトの山根実紀さんがあいさつと報告を行った。 仲尾さんは、「日本を作ってきたのは純粋な日本人だけではないのに、外国人を排除するというのはありえないこと。(今回の集会が)日本社会のあり方を見直し、いろんな文化、人がともに生きる社会を作る契機になってくれたら」と語った。 山根さんは、すべての在日・滞日外国人が民族性や文化を尊重しともに生きていく、真の多民族共生社会をつくろうと呼びかけた。 京都民族教育対策委員会の柴松枝さんは、「在特会」らによる京都朝鮮第1初級学校への襲撃(昨年12月4日)、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除を許さないと訴え、「1世の同胞たちが命をかけて守ってきた民族教育を私たちも命がけで守っていく」と強調した。 在日外国人への差別を許さない北九州市民会議の内岡貞雄さんも応援に駆けつけ、3月26日に北九州市長に「高校無償化」の朝鮮学校除外に反対する要請書を手渡したと報告し、ともに連帯し暴挙を跳ね返していこうと発言した。 集会に参加していた国会議員の服部良一議員が紹介され、参加者から拍手喝采を受けた。
つづいて東京造形大学教授の前田朗さん(朝鮮大学校非常勤講師)が国連人種差別撤廃委員会(スイス・ジュネーブ)への訴えに関する講演を行った。前田さんは18人中12人が参加した国連委員とのやりとりを紹介。「在特会」の蛮行と高校無償化問題の実態をビデオで見て説明を聞いた国連委員らが、人種差別禁止法や人権委員会の制定などを求める勧告を含む対日審査最終所見を3月15日付で提出した経過について話した。 一方、前田さんは日本政府がこうした勧告を受け入れるよう日本国内での活動、アピールを通じ、政府を変えていく活動が必要で、「在特会」問題のあった京都での今回の集会に大きな意義を感じていると述べ、「これは私たちが住む社会の問題。この社会の歪みを正し、差別をなくしていこう」と呼びかけた。 弁護士の豊福誠二さん、劇団水曜日の田中ひろみさん、全国同時証言集会京都実行委員会の浅井桐子さん、にっこりネットの瀧川順朗さん、排外主義とたたかうネットワーク・関西の内山悠さん、5.30関西集会実行委員会の南守さんが、日本社会の歪みに対する不当性とともに差別をなくすためともにたたかっていこうと連帯のアピールをした。
集会で採択された集会宣言は、2月から行われてきた「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう 朝鮮学校への攻撃をゆるさない」という趣旨の共同アピール運動により、現在、賛同人・賛同団体が1312に達するなど、日本人と在日コリアンの連帯、共同のたたかいが大きくつくりだされており、このような動きを今後、すべての在日・滞日外国人との連帯へとおし広げていこうと訴えた。
その後、集会参加者らは留学同京都のサムルノリ隊を先頭に、音楽堂から祇園、四条河原町、京都市役所前までの道のりを約1時間、「民族差別をなくそう!」「外国人排斥に反対しよう!」などとシュプレヒコールをあげながらデモ行進し、高校無償化除外の不当性などを市民らに訴えた。途中、日本国旗を手にブルーリボンをつけた日本人らによる罵声や嫌がらせがあったが、デモ行進は多数の市民らの拍手や声援、機動隊の警備のなか、安全に行われた。 先日、留学同活動の一環で朝鮮学校「無償化」除外に反対するビラ配りを行ったという朝青京都・右京支部の金正弘さん(23、京都中高出身)もこの日の集会、デモ行進に参加した。「朝鮮人が自由に住めない現状を見ると、在日1世が作ってきたものを守らなあかんという気持ちが沸き起こってくる。後代がしっかりと生きていくために、先代がそうであったように、朝青世代としてがんばる出番がきた」と語った。
また、日本に居住するようになって数ヶ月だという南朝鮮のある神父は、「(デモ中に在特会らの罵声や嫌がらせを通じ)民族差別の現場を見た。デモに参加した在日同胞や日本人の団結力、行動力が日本社会をよりよく変えていくのだと思った」と話していた。 [朝鮮新報 2010.3.29] |