「高校無償化」 院内勉強会 「排外主義、差別意識の克服を」 |
「高校無償化」法案が参議院で審議入りした19日、「日本朝鮮学術教育交流協会」と「神奈川朝鮮学園を支える会」の呼びかけによる「高校実質無償化における朝鮮学校の取り扱いに関する勉強会」が、東京・永田町の参議院議員会館で行われた。勉強会は4日に衆議院第1議員会館で開催されたのに続き2回目。 与野党の国会議員、朝鮮学校関係者、日本市民ら100余人が参加し、朝鮮学校が除外されないようさらに活発に活動を繰り広げていくことを呼びかけた。
新たな差別発生を危惧
「日本朝鮮学術教育交流協会」の園部守事務局長は開会のあいさつで、子どもたちの学習権という基本的人権を保障しようとする法案が、朝鮮学校除外という新たな差別を生み出してはならないと訴えた。 土肥隆一衆議院議員(民主党)は日本社会に生活基盤を置く在日朝鮮人が民族のアイデンティティを求めて民族教育を行うことは当然のことだと指摘。「省令にまかせて闇の中で排斥しようとしている」との危惧を示しながらも、「良心的力学が働いて朝鮮学校にも当然、『無償化』の手が差し伸べられると確信している」と話した。 衆議院文部科学委員会理事の首藤信彦議員(民主党)は、「特定の学校を外交関係上の問題をもって差別することはあってはならない」と述べ、斉藤つよし衆議院議員(民主党)は、「政権交代してこういった集いが開かれること自体が問題。1分1秒でも早く解決しなければならない」と語った。 又市征治参議院議員(社民党副党首)は、「今起こっていることは、大臣ひとりが問題ということではない。日本の社会に潜んでいる排外主義、差別意識に根ざしたものがこのような形で現れている。これを克服することが大事」だと指摘した。 国連勧告、大きな意義 各地で日朝友好運動を進める日本の市民も除外反対にいっそう声を高めている。 この日、鳩山由紀夫首相あてに要請書を提出した「朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議」の伊藤晃二会長代行は、「在日の方だけではなくわれわれ日本人もおかしいと声をあげていかなければならない」と意気込みを語った。 「神奈川朝鮮学園を支える会」の広瀬禮子さんは、「差別を上塗りするような『無償化』制度とは何なのか。子どもたちに平和と差別のない世界を与えられるよう日本人が行動しなければ」と話した。 神奈川県立横浜翠嵐高等学校定時制教員の遠藤正承さんは、「1940年代の民族教育弾圧と同じ状況ではないか。(権力側の要求に)従えないのなら日本の学校に行けばいいという風潮に危惧している」と述べた。 勉強会では朝鮮学校の生徒や保護者なども発言し、民族教育の実情や現在の思いを語った。 東北朝鮮初中高級学校高級部休校にともない実家のある岩手を離れ、東京朝高に通っている崔智慧さん(17)は「母校が休校になりとても悲しい思いをした」としながら、「学費が高くて朝鮮学校に通うことができない生徒が増えれば学校の運営も難しくなる。学校を守りたい。私たちの子どもや孫も朝鮮学校に通えるようにしたい。『無償化』制度が適用されるよう心から望んでいる」と訴えた。 国連の人種差別撤廃委員会は16日、高校無償化で朝鮮学校を除こうとする日本の政治家の動きに懸念を表明、日本政府に対して朝鮮学校除外は人種差別撤廃条約の「教育に関する権利の平等保障義務」に違反していると警告し、改善を勧告した。 在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑事務局部長は、審議中の法案に対して委員会が懸念を表明し、勧告したことに非常に大きな意義があり、日本政府はこれを重く受け止めるべきであると指摘した。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2010.3.24] |