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「高校無償化」 日本の各界団体が声明、要請書

「朝鮮学校を除外するな」

 朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外しないことを求め、法曹界をはじめとする日本の各界の団体が、引き続き声明や要請書を発表している。

学ぶ権利は平等に

 京都弁護士会(村井豊明会長)は16日、「朝鮮学校に通う子どもたちを高校無償化の対象から排除しないことを求める会長声明」を発表した。

 声明は、朝鮮学校が各種学校としての認可を都道府県知事から受けており、教育課程の確認が容易であること、またほぼすべての大学において「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」として朝鮮学校卒業生の受験資格が認められ、現に国公立をはじめとする多くの大学に朝鮮学校卒業生が進学していることからすれば、朝鮮学校が「高等学校の課程に類する課程を置くもの」に該当することは明らかだと指摘した。

 また、朝鮮学校に通う子どもだけが無償化の対象から排除され、インターナショナルスクールや中華学校などの各種学校が無償化の対象となった場合、子どもの権利条約や人種差別撤廃条約、国際人権規約の禁止する差別にあたることはもちろん、日本国憲法第26条1項および第14条1項にも反するものだと強調した。

 そのうえで、子どもたちの教育を受ける権利に関する問題が政治的理由によって左右されるべきではなく、朝鮮学校に通う子どもたちを無償化の対象から排除しないことを強く求めた。

 一方、日本教職員組合第98回臨時大会が15日に行われ、「すべての子どもたちに中等教育の実質無償化を求める特別決議」が採択された。

 決議は、外交問題などを理由に朝鮮学校だけを無償化の対象から除外することは、国際人権A規約や日本国憲法26条、教育基本法4条に照らしても問題があると指摘。この問題が政治や外交上の問題から判断されてはならず、朝鮮学校は子どもたちが国際社会と地域社会に貢献できるよう日本の高等学校の課程案に準じた教育を行っていると強調した。

 そのうえで、朝鮮学校だけを除外することは、法案の理念の趣旨に反することであり、すべての子どもたちに差別なく学ぶ権利が保障されるべきだと主張した。

民族差別、人権侵害

 秋田県朝鮮人強制連行真相調査団と「日本朝鮮善隣友好の会」は15日、鳩山首相と川端文科相あての申し入れを発表した。

 申し入れは、日本の多くの国公立および私立大学が受験資格を認めていることからもわかるように、朝鮮学校は教育基本法のいわゆる「一条校」と同等の内容で教育を行っており、日本政府が教育基本法1条を朝鮮学校に適用していないことに問題があると指摘。国際人権諸条約の委員会が再三にわたって朝鮮学校に対する日本政府の差別的な政策を改善するよう勧告している事実に触れながら、日本と朝鮮の暗い歴史を克服し、明るい未来に変えていくのは子どもたちだと強調した。

 そのうえで、朝鮮学校だけを無償化から除外することは子どもたちに新たな差別感を植えつけることになり、すべての子どもたちに平等に教育の機会を与えるよう強く求めた。

 一方、「朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議」の伊藤晃二会長代行は19日、鳩山首相に送る要請書を発表した。

 要請書は、無償化から朝鮮学校を除外しようとする一連の動きには、政治的な理由から朝鮮学校を最初から除外するという結論が前提にあり、法案成立後に「省令」でいかにも「客観的」な装いを取り繕いながら、朝鮮学校を排除する手法だと指弾されても仕方ない対応だと指摘した。

 また、日本国憲法と教育基本法、国際人権規約でも指摘されているように、子どもたちの学ぶ権利は日本に暮らすすべてに人に等しく保障されなければならず、朝鮮学校に通う子どもだけを狙い撃ちにするような政府の対応は、民族差別、基本的人権の侵害だと強調した。

[朝鮮新報 2010.3.24]