朝鮮学校の生徒、同胞らが各地でチラシを配り署名活動を行いながら「高校無償化」制度の適用を訴えている。朝鮮学校を「無償化」対象から除外すべきとの議論について市民はどう思っているのか。都内各所で意見を集めてみた。

　水野あゆみ（東京都在住、21、大学生）　「この問題に関しては、度が過ぎると思う。大人の問題に子どもを巻き込むのは良くない。誰にでも学ぶ権利はあり、それを平等に保障するのは当然のことだ。ましてや他の外国人学校には制度を適用して朝鮮学校だけを外すのはおかしい。初めから朝鮮学校に対する考えが平等じゃないから、こんな問題が起こると思う」

　柴田亨（千葉県在住、55、警備員）　「日本のマスコミは過去の植民地問題は棚に上げて、拉致のことばかりを取り上げている。自国が背負った責任もきちんと取らずに他国のことばかりを責めるのはおかしな話だ。今回のこともそうだが、すべて拉致問題とつなげて解決しようとするのは愚かな発想だ。世界では通用しない。真実をわかっていない国民も多いと思うが、自国の社会的問題にもっと関心を持ち、認識を深める必要があると思う」

　５０代男性（世田谷区、会社員）　「息子が公立高校に通っているので無償化制度はたいへんうれしく、４月からの実施が待ち遠しい。朝鮮学校で子どもを学ばせる親も同じ気持ちだろう。親として最も心ぐるしいことは金銭面で子どもに気遣いをさせること。公平な判断がなされなければならない」

　４０代女性（東京都、会社員）　「首相がもっとしっかりしなければ。今の時代、こんなナンセンスなやり方はどうかと思う。どうして隣国同士、仲良くしようとしないのだろう。敵対しても何も前に進まないのに」

　３０代男性（中央区、会社員）　「無償化には国民の税金が使われるそうだが、在日コリアンも納税者ではないか。同じく税金を収めさせながら権利を与えないというのはおかしな話だ」

　２０代女性（大田区、アルバイト）　「マスコミの報道だけを見ていたら、朝鮮学校がどんな学校なのかよく伝わらない。でも、家庭の経済力の差が高校生の将来を左右することに関しては悲しく思う。誰にでも平等であるべき教育問題に政府が差別を加えるようなことがあれば、日本国民として恥ずかしく思う。チラシをじっくり読んでみたい」

［朝鮮新報 2010.3.12］