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「高校無償化」 弁護士らが不当性を主張

「多くの法的問題点」

記者会見を行なう吉峯啓晴弁護士(左)と金舜植弁護士

 「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外しようとする動きを危惧し、日本の法曹界がこれに反対する姿勢を示している。弁護士らは、除外には法的な問題点があるとしながら、差別なく朝鮮学校を対象に含めるよう主張する声明などを相次いで発表している。

 「外国人学校・民族学校の問題を考える弁護士有志の会」(共同代表=吉峯啓晴弁護士、丹羽雅雄弁護士、332人)が5日、民主党幹事長室を通じて鳩山由紀夫首相および川端達夫文部科学大臣に意見書を提出した。

 意見書は、「高校無償化」制度の趣旨にかんがみ、朝鮮学校を学校教育法第1条が定める日本の高等学校(以下、1条校)と区別することはもちろん、各種学校である他の外国人学校とも区別し、「無償化」制度の対象から除外して取り扱うことには多くの法的問題点があると指摘した。

 意見書は、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約および国際人権規約などの国際条約はもとより、憲法第26条1項(教育を受ける権利)および憲法第14条1項(平等権)の各規定の解釈から、朝鮮学校に通う外国籍の子どもにも学習権(普通教育を受ける権利およびマイノリティー教育を受ける権利)が保障されていることに言及した。

 そして、日本の私立学校あるいは他の外国人学校と比べて朝鮮学校を差別的に取り扱うことは、朝鮮学校に通う子どもたちに対する重大な人権侵害にあたると指摘した。

 同日、文部科学省で行われた記者会見で吉峯啓晴弁護士は、「多くの弁護士たちとも話したが、憲法や国際条約に照らしてみても、朝鮮学校を除外するのはおかしいとの声があがった」としながら、「『無償化』制度は子どもの学習権を実質化するものとして、どの子どもにも等しく適用されるべき」だと話した。金舜植弁護士は、「朝鮮学校は当然、(対象に)認められるべき。外されない方向で解決されるだろうと希望を持っている」と述べた。

 一方、日本弁護士連合会(宮ア誠会長、日弁連)は5日、会長声明を発表した。また、第二東京弁護士会 (川崎達也会長)は4日に会長声明を、自由法曹団(菊池紘団長)は5日に声明を発表した。

 日弁連会長は、「教育を受ける機会は、政治・外交問題に左右されてはならず、朝鮮学校に通う子どもたちについても変わることなく保障されるべき」だと主張した。

[朝鮮新報 2010.3.10]