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「高校無償化」 除外問題で院内勉強会 国会議員、朝鮮学校関係者らが参加

「後世に禍根残さぬ法律を」

朝鮮学校生徒の発言に耳を傾ける参加者たち

 日本朝鮮学術教育交流協会と神奈川朝鮮学園を支える会などの呼びかけによる「高校無償化における朝鮮学校の取り扱いに関する勉強会」が4日、東京・永田町の衆議院第1議員会館で行われた。

 衆院文科委員を含む与野党の国会議員、朝鮮学校関係者、日本市民ら70人以上が参加し、「朝鮮学校はずし」が日本国憲法や国際的な諸法規に違反する差別であることを確認した。

朝鮮学校除外は憲法違反

 勉強会では同協会の西澤清副会長があいさつし、園部守事務局長が問題の経過報告を行った。「政府や国会の人権に対する理解が乏しく、朝鮮学校に対する認識が不足している。これを機に理解を広めることが必要だ」と呼びかけた。

 神本美恵子参院議員(民主党)は、教員時代に朝鮮学校の教員たちと交流したことで教育内容を知った経験を語り、衆院文科委員会の東京朝鮮中高級学校視察を評価。「一部の議員が、朝鮮学校では反日教育が行われていると公言しているが、そうではないという認識を一人でも多くの人に広め、すべての子どもの学習権を保障するという『高校無償化』の趣旨の通りに実現されなければならない」と述べた。

 瑞慶覧長敏衆院議員(民主党)は、沖縄の方言が排除された「過去のあやまち」を引き合いに出しながら、「問題の根っこは人権問題。政権が変わっても人権を守らないのなら意味がない」、渕上貞雄参院議員(社民党)は「日本の人権問題のおくれが明らかになった。教育で差別があってはならない」、宮本岳志衆院議員(共産党)は「特定の国や外国人学校を排除してはならない。国際的なルールにのっとり、文科省令で定めるべきだ」と述べた。

 また、李春熙弁護士は、「朝鮮学校はずしは明らかに憲法違反だ。日本政府は世界に恥ずかしくないよう対応すべきだ」と厳しく指摘した。

 日本市民のある男性は「日本が法治国家であろうとするなら認めるべきだ。仮に朝鮮学校に通う生徒が100%『朝鮮籍』だとしてもそうだ」と述べた。

「私たちも日本社会の一員」

 一方、学校関係者たちは当事者としての思いを率直に語った。

 東京朝鮮中高級学校の生徒たちは「なぜこんな状況になってしまったのか、疑問に思う。朝鮮人を中傷するインターネットの書き込みなどを見ていると不安に思うこともある」と打ち明けた。

 東京、神奈川、千葉、埼玉などから駆けつけた保護者らも「政治問題に子どもたちが巻き込まれているので不安でたまらない。子どもたちは心に傷を負った」「日本は経済的にも発展を成し遂げた国だと思う。なのになぜこんなひどい差別が今も続いているのか」と心情を語った。

 その一方、生徒たちは「チマ・チョゴリを着て通学できるのは朝鮮学校を支援してくれる日本の人たちがいるからだ」と感謝し、「朝鮮学校を除外せず、平等に扱ってほしい」と訴えた。

 保護者らも「朝鮮学校出身者も日本社会の一員としての役割を果たしている。そうすることができるのは、支えて応援してくれる人たちがいるからだ」と述べ、新たな差別を生まないよう協調することを呼びかけた。

 池坊保子衆院議員(公明党)は「自分たちの民族や歴史、文化を子どもたちに教えたいという親たちの気持ちを受け止めた。若い世代に禍根を残さない法律になるようがんばりたい」と述べた。(李泰鎬記者)

[朝鮮新報 2010.3.10]