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岡山初中への補助金増額 岡山市議会で全会一致

岡山で、民族教育発展のための新しい成果が生まれた(写真は岡山初中で行われた09学年度の卒園式・卒業式)

 岡山朝鮮初中級学校への岡山市の補助金が今学年度から増額される。岡山市議会が全会一致で採択した。生徒一人当たり年間8000円だった岡山市の補助金は、「岡山市外国人学校補助金交付要領」にもとづき2万8000円となる。3.5倍の大幅増だ。

 今後は各学年度の決算書に沿って金額が定められる。

 今年度の補助金は同校が教育設備への支出を抑制した2008年度の決算を元に算出された。

 一方、老朽化した同校ブロック塀への補修費助成の請願が倉敷市議会で審議の結果、こちらも全会一致で採択された。

 地域同胞たちは日本市民たちとの協力のもと、達成された一連の成果に大きな力を得ている。関係者は、今回の陳情と請願が各市議会において、全会一致で採択されたことに注目している。

 関係者たちは、「生徒たちのために、より良い教育環境を整えることができるようになる」と展望を語る。

補助金増額、補修費助成獲得 「手を取り合って」

 岡山朝鮮初中級学校に対する岡山市の補助金が22年ぶりに生徒一人当たり年間2万8千円に増額されることになり、学校関係者は喜んでいる。また、倉敷市議会では、老朽化した同校ブロック塀への補修費助成を全会一致で採択。朝・日友好の伝統を育んできた岡山で、民族教育発展のための新しい成果が生まれた。

地域同胞社会のために

 補助金増額と補修費助成獲得のために尽力したのは総連の助成金推進委員会(李建男委員長)と各界層の日本人で構成された「日本と南北朝鮮との友好を進める会」(「進める会」)だ。

 助成金推進委員会は、助成金の増額を目的に教育会、総連本部、学校、県商工会、青商会の代表らで08年2月に発足した。

 時を同じくして超党派の県議会、市議会議員、経済人、学者、文化人、マスコミ、労働組合関係者など幅広い日本人で結成された「進める会」は在日同胞の権利拡大、とりわけ民族教育の権利擁護に向けた運動を進める方針を打ち出した。

 朝鮮訪問、支援事業などを機に99年11月に結成された「進める会」は、チャリティーゴルフコンペなどの学校行事に参加する過程で、民族教育発展のために奔走する若い同胞たちの姿に深い感銘を受けたという。

 両団体は民族教育発展のための補助金増額という共通の目的に向けて歩調を合わせた。まず、22年前から補助金の増額が見送られている岡山市との交渉を急ぐことにした。

 同胞と「進める会」のメンバーは、互いのイベントに協力しあいながら、日常的に交流を深め、随時情報交換を行ってきた。岡山での朝・日親善運動には長い歴史がある。その過程で強い信頼関係を構築してきたことが、運動を進めるうえで大きなアドバンテージになった。

 そして、昨年12月7日に「進める会」名義で提出した陳情書が同22日、岡山市議会で採択された。

 倉敷市議会で採択された補修費助成を獲得する過程でも共に力を合わせて運動を展開した。倉敷市議会に提出された請願書の紹介議員の内訳をみると、同市の7会派すべてが網羅されている。うち、6会派は代表の署名。地域同胞がわずか数日で集めたという。草の根友好運動の力がいかんなく発揮されたといえる。

全会一致は市民の意志

 「進める会」の森本榮事務局長(全労済県本部理事長)は、助成金の増額で朝鮮学校の保護者の負担を軽減することができたとしながら、日朝友好の大切さを強調した。

 また、助成金増額が全会一致で採択されたことによって、今後の岡山での運動をより力強く推進できる展望を示せたと指摘。そのうえで、超党派の議員、学者、文化人が一つとなり、具体的なテーマを持って運動を進めていく「岡山方式」を継続して推し進めたいと述べた。

 現在、岡山でも朝鮮学校を「高校無償化」から除外しようとする日本政府の差別政策への非難の声が高まっている。

 市民たちの支持を得て当選した市議会議員たちが全会一致で補助金の増額を採択した岡山の現実は、政府の誤った方針への反証になる。朝・日が手を取り合って生んだ成果は、「高校無償化」問題で朝鮮学校を日本社会から排除しようとする勢力が決して多数派でないことを表している。

 「進める会」のある県議会議員は、在日朝鮮人の「人権問題」は日本社会が抱える問題であり、その歴史的経緯を見ても日本市民が解決に向けて取り組むべきだと話す。

 ある市議会議員は昨年12月22日のブログで「今日とてもうれしいことがあった」と補助金増額を知らせ、多文化共生の重要性を訴えた。

 ある県市議会議員は「補助金の増額、補修費助成に向けてすべてのチャンネルが動いたことは、今後より幅広い『県民運動』『国民運動』が展開できる可能性につながった」と指摘した。

 両団体関係者によると、今回の補助金増額を機に、これからは岡山県をはじめとする他の自治体との交渉も進めていくという。

 学父母たちは、「補助金増額に向けて尽力してくれた朝・日の人士たちに心から大きな拍手を送る」「ともに手を取り合って、民族教育をさらに発展させることができてうれしい」と話した。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2010.4.5]