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〈心に残る言葉 2010年を振り返る〉 高まる学校支援への熱意 「活路は、一心団結」

記念行事は、卒業生たちの愛校心を呼び起こすきっかけとなった

 今年、民族教育の現場を踏み、学生数の減少、経済不況、日本政府による差別など、朝鮮学校を取り巻く状況が依然として厳しいことをあらためて実感した。

 一方で、困難な状況に置かれても、難局打開のために奮闘している同胞、活動家がいるという事実、また、みなが団結すれば学校は守っていけるということを確信した年でもあった。

 「民族教育を強化する年」と位置づけられた今年、多くの地域ではこれまでになく学校支援が活発に行われた。それは、同胞のネットワークを広げ、彼らに学校問題への関心を喚起する過程でもあった。

 滋賀朝鮮初級学校では、今年、学校創立50周年記念事業を、学校運営の危機的状況を打開するための大きなきっかけと定めていた。

 ある関係者は、「多くの卒業生や関係者に学校問題への関心を呼び起こし、学校支援のための運動基盤を構築することが重要だ」と指摘した。

 11月。滋賀初級で行われた創立記念行事には、約580人を超える卒業生、関係者、同胞が集まった。この地域で、これほどの数の同胞が学校に集まるのは、これが初めてのこと。それは、ひとえに非専従活動家を中心とした実行委員たちが年間を通じて地道に行ってきた宣伝活動の結実だった。

 「活路は、一心団結にある。1世、2世がそうだったように、地域のすべての同胞が心を一つにして固く団結していけば、学校は必ず守ることができる」

 李相浩実行委員長は、会場に集まった参加者を前に、母校への熱い思いを口にした。

 学校支援の「土台」を拡大し、強化するための活動は、今年、学校創立50周年を迎えた群馬朝鮮初中級学校、福岡朝鮮初級学校でも活発に行われた。

統一列車を作り、運動場を駆け巡る生徒たち(11月7日、滋賀初級)

 群馬初中では、北海道から熊本にいたるまで「全国」に住む卒業生千人を対象に、訪問活動を行い記念行事への参加を呼びかけてきた。

 行事当日、群馬初中の運動場には、同級生との再会を喜び、母校を守るためには何ができるのかと真剣に話し合う卒業生たちの姿があった。久しぶりに母校を訪れ、心の奥深くに眠っていた愛校心を強く刺激されたようだった。

 「学校は、宝物。これからも、何かあるたびに積極的に学校を訪れたい」

 また、どの学校、どの地域に行っても、朝鮮学校を支援する日本市民らの姿が見られた。

 東京朝鮮第2初級学校を守るための「枝川裁判」を機に発足した「枝川朝鮮学校支援都民基金」は、新校舎の建設を支援するチャリティーコンサートを独自に企画した。

 コンサートに参加した約300人の参加者のうち、3分の2が日本市民たちだった。

 支援活動に熱心に力を傾ける理由は何か。ある日本人関係者は、「支援をしているという特別な意識はない。朝鮮学校は、私たちがともに守ってきた『ウリ』ハッキョだと思っている」

 彼は、「枝川の朝鮮学校は、在日朝鮮人と日本人、地域に住むすべての人々の生活の拠点だ。ずっとこの場所に残さなくてはならない」と話す。

 民族教育の現場では、同胞、日本市民の連帯が、困難を乗り越えていく力を培っているのだということを確認することができた。

 一方、総連の各機関、団体の専従、非専従活動家、学父母らが、朝鮮学校により多くの子どもたちを受け入れるための活動に積極的に取り組むという成果が生まれた。

 総連大阪・中西支部の金栄鍾教育部長(56、非専従)は「日ごろから同胞の家々を訪ね、つながりを構築すれば、学校問題や地域同胞社会に対する彼らの率直な意見を聞くことができるし、問題意識を共有することもできる。活動を通じ、同胞と直接対話する重要性を再確認した」と話した。

 学校支援活動が、全同胞による運動として展開されるなか、各地では、民族教育を守り発展させていこうとする気運がいっそう高まっている。

 「一心団結した同胞の強さ」に深く共感した一年だった。(周)

[朝鮮新報 2010.12.22]