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いつまでも心の中に

 日本の関係者などを対象にした公開授業の取材で、ある朝鮮学校を訪れた。

 国内最大級といわれる「コリアンタウン」に居を構えたその初級学校に一歩足を踏み入れると、子どもたちの笑顔に圧倒される。みな、パワフルだ。

 この日、日本人関係者の間でとくに注目を集めた授業がある。

 3年生の日本語の授業で、生徒たちが「なりきり作文」を発表するという内容のもの。子どもたちは、自分の大切なものになりきって、それらの気持ちを文章につづった。

 筆箱やランドセルなど小学生らしい題材が発表される中、2年前に転校してきたある児童が、廃校になった元母校の朝鮮学校に「なりきった」。

 「僕の姿はなくなっちゃったけど、君が覚えているかぎり、僕はいつまでも君の中からなくならないよ」

 わずか9歳の児童が「母校の廃校」という現実を自分なりに受け止め、涙ながらに思いの丈を打ち明け発表する姿に、日本人関係者らも「『客観的』ではいられない」と話した。

 財政問題をはじめ、民族教育を取り巻く現状は依然として厳しい。なかでも、生徒数の減少はとくに切迫した問題の一つだ。

 「何よりも大切なのはウリハッキョの存続。まずは関心を持ってもらうことから」――各地域朝鮮学校の学父母、関係者らは口をそろえる。ウリマルを必死に練習する児童らの姿を見ながら、朝鮮学校への関心を広げていくことの重要性をあらためて感じた。(周)

[朝鮮新報 2010.12.6]