「在日朝鮮人歴史・人権月間」 活動広げ4年間で2万人が参加 |
授賞式と「まとめの会」 在日朝鮮人歴史・人権月間全国実行委員会が発表した2010年「歴史人権奨励賞」の授賞式と、今年度を総括する「まとめの会」(主催=同実行委員会)が12日、京都教育文化センターで行われた。優秀賞として「同志社大学KOREA文化研究会」と「日朝友好愛知学生の会」が、奨励賞として留学生同盟兵庫「強制連行真相究明サークル」が表彰された(特別賞は該当なし)。会では、「韓国併合100年」をテーマに展開されてきた今年度の活動報告と、「在日朝鮮人の民族教育」をテーマにした来年度の活動内容が発表された。 「若い世代に期待」 実行委員会のあいさつに続き、各受賞団体代表らによる活動報告が行われた。 「同志社大学KOREA文化研究会」は1989年から21年間、毎年「日朝関係史講座」を行ってきた。今年は「『韓国併合』100年を問う」をテーマに、「高校無償化」問題や「1世の思い」などの多様な内容を企画。時代性に沿ったテーマを軸に、在日朝鮮人の歴史・人権問題を考え、真の日朝友好に寄与したことが評価された。 「日朝友好愛知学生の会」では、在日朝鮮人学生と日本人学生が共に、年間を通して学習会やシンポジウム、朝鮮学校訪問、金沢スタディーツアーなど斬新な活動を展開。史実の風化を防ぐため、「記憶を継承」していくことの重要性を考えてきた。 同会代表の高原さつきさん(27)は、「いまだに他民族への排外主義が根強く残る日本で、小さなことでも声を上げることを積み重ねていけば、共感を得ることができると感じた。これからも、活動に励んでいきたい」と話した。 留学生同盟兵庫「強制連行真相究明サークル」は、兵庫県を中心としたフィールドワークや学習会を行い、学生たちの歴史認識を深めてきた。とくに5年前からは、数万人にもおよぶ強制連行被害者名簿の整理・分析を行い、強制連行の問題を学術的に調査するうえでの基礎資料を作成した。 受賞団体の活動評価を行った朝鮮人強制連行真相調査団日本人側全国連絡協議会の寺尾光身共同代表は、「『高校無償化』からの朝鮮学校除外の問題をはじめ、日本社会での在日朝鮮人に対する差別や人権状況はいまだ改善されていない。若い世代が輪を広げ、多くの人を運動に巻き込んでいってくれれば」と期待を述べた。 来年度は「民族教育」 「週間」から「月間」に拡大された「在日朝鮮人歴史・人権月間」は今年、「韓国併合100年」をテーマに、8月22日から9月20日まで開催された。神奈川、奈良、山口、福岡など各地で開かれた集会に約8千人が参加した。4年間では延べ2万人が参加したことになる。また、開催数も昨年に比べ2倍以上に増加した。 本年度の活動報告を行った朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側中央本部の洪祥進事務局長は、「1905年『乙支5条約』と1910年『韓国併合条約』について、法的視点から分析することで、日本政府の植民地支配の不当性を浮き彫りにし、多くの人々にその事実を伝えることができた」と今年度の活動の意義を語った。 また、「各地での集会開催数の増加は、歴史問題に関心を持ち自発的に活動する人たちが増えたことを示している。近年では、とくに若い世代が意欲的に活動に取り組んでおり、内容も充実してきている」と語った。 2011年「歴史・人権月間」のテーマは「在日朝鮮人の民族教育」に決まった。▼解放後に日本国内で強要された同化・「協和教育」、▼日本に対する国連条約委員会の勧告から見た「民族教育」差別の不当性、▼私学認定および補助を受けている海外の日本学校の処遇から見る課題を骨子とする。(周未來) [朝鮮新報 2010.11.19] |