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ハナ(花)を咲かそう

 今年の9月、神戸朝高吹奏楽部が兵庫県の宍粟市で行った合宿に同行したときのこと。

 合宿成功のために、生徒たちに何から何までしてくれる宍粟の人たちの姿を見ながら、初日は頭の中が無数の「?」で埋め尽くされた。なぜそこまでしてくれるのか?損得をかえりみず細かく気を配ってくれるその原動力はいったい…?

 いろんなスタッフらと話をするたび、「なぜ」を投げかけてみても「なんでなんやろな〜、わからん」と笑いながらはぐらかされてしまう。「先生、生徒たちのことがただ好きなんや」と言われても、それだけでは納得できなかった。

 スタッフ責任者の大畑利明さんは「日本社会の中で差別を受けながらも民族の誇りを守っていく生徒たちの明るい姿勢、先生たちの人柄、そしてその思いが込められた演奏に自然に涙が流れ、心が洗われる」と話した。

 ひたむきで情感が込められた演奏、それをこよなく愛する日本の市民の姿。国は違っても互いを尊重し合う心が、宍粟市に日朝交流の「ハナ(花)」を咲かせていた。

 神戸朝高は毎年11月初旬に行われる在日本朝鮮人中央芸術コンクールで12年連続優秀賞という好成績をあげている。その秘訣を垣間見たような気がした。

 今年の開催地は東京。当日まで余すところ1週間。これからも朝鮮人として堂々と生きていく朝高生たちの決意が込められたオリジナル曲で、今年も多くの人々の胸に響く演奏をしてくれるだろう。(梨)

[朝鮮新報 2010.10.25]