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人権協会主催のシンポ 「植民地支配の二次被害」

シンポジウムには約170人が参加し、発言者に耳を傾けた

 「韓国強制併合100年」に関する連続企画の第3弾、シンポジウム「併合から100年『今、在日朝鮮人の人権は?』−その現状と課題を考える」が2日、中央大学駿河台記念館(東京・千代田区)で行われた(主催=在日本朝鮮人人権協会)。同胞、日本人ら約170人が参加した。

 シンポジウムでは「韓国併合」から100年が経ったこんにちにおいても、在日朝鮮人の人権が阻害されている状況について話され、根本的な解決を目指す運動を展開する必要性が討議された。

 パネリストは同胞弁護士3氏。金舜植弁護士が「民族教育の権利拡充運動の到達点と今後の課題−『高校無償化』除外問題をきっかけに」、康仙華弁護士が「在特会らのヘイトクライムを許さないために−京都朝鮮第1初級学校嫌がらせ事件」、金敏寛弁護士が「無年金裁判と在日朝鮮人の社会保障」について、それぞれ発言した。また全東周弁護士が司会を、朝鮮商工新聞の金昌宣編集長がコメンテーターを務めた。

 金舜植弁護士は、日本政府が祖国解放後からこんにちに至るまで、朝鮮学校の存在を否定し、在日同胞を社会保障から排除してきた歴史的経緯について解説した。また、同胞たちや良識ある日本市民たちの闘いによって、一つひとつ権利を獲得してきたが、その中で新たな問題として浮上したのが「高校無償化」問題であったと指摘した。

 金舜植弁護士は、植民地統治期に朝鮮民族から言葉を奪った日本政府が過去清算をしていないことに根本的な問題があるとし、在日朝鮮人は植民地統治の二次被害に遭っていると強調した。

 そのうえで、「高校無償化」問題は、人権としての子どもたちの学ぶ権利という観点を提起したと指摘。「今回の『無償化』問題を契機に、(民族教育権を)正面から人権として認めさせたい」と話した。

シンポジウムの発言者たち

 続いてマイクを握った康仙華弁護士は、まず昨年12月4日に起こった「在特会」による京都第1初級への襲撃事件の概要を解説。また9月16日に行われた同事件の第1回口頭弁論とその後の報告集会の様子を報告した。

 康仙華弁護士は、この事件が同校だけでなく、朝鮮学校の存在そのものに向けられた攻撃だと指摘した。

 一方、金敏寛弁護士は2007年に福岡地裁に提訴された同胞高齢者の無年金裁判の問題点について話した。

 金敏寛弁護士は、サンフランシスコ講和条約(52年)締結後、在日朝鮮人は「外国人」とされ、国籍条項によってあらゆる社会保障から除外され、80年代の法改定でも救済されなかったと話し、裁判を通じて在日朝鮮人という存在が生まれた経緯をしっかりと捉える必要性を訴えた。

 コメンテーターの金昌宣編集長は、在日朝鮮人を取り巻く人権状況は、過去も現在も本質的な変化がないと指摘。日本政府は過去の歴史的見地からも、在日朝鮮人の人権を保障すべき法的、道義的責務があると強調した。

 金編集長は、在日朝鮮人への抑圧は、国連人権規約や日本の国内法から見ても許されるべきものではないとしながら、「個別の事案を一つずつ見るのではなく、複合的に捉えながら、われわれの権利擁護運動を推進していく必要がある」と主張した。

 司会を務めた全東周弁護士は、在日朝鮮人が現在被っている数々の問題は、日本の植民地支配の未清算が根底にあり、加害状態が継続しているという認識を持つ必要があると指摘しながら、「問題解決のためにも朝・日国交正常化が求められており、その中で、在日朝鮮人への過去清算を勝ち取る必要がある」と話した。

 シンポジウムでは、2010年度新司法試験に合格した3人の同胞青年が紹介された。(鄭茂憲)

人権協会シンポ 同胞弁護士3氏の発言要旨 差別の根源正さねば

[朝鮮新報 2010.10.12]