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関東大震災朝鮮人虐殺 日本の国家責任問う市民団体が発足

「引き起こした責任」と「隠蔽した責任」

「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」発足総会(9月24日、東京)

 「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」が発足した。9月24日、都内で発足総会が開かれ、関東各地の同胞、日本の研究者、活動家らが参加した。

 これまでの同胞、市民、学者らによる長い間の真相究明により、地震が発生した日(1923年9月1日午前11時58分頃)の夕方から翌日にかけて、「不逞鮮人が殺人放火している」「暴動をたくらんでいる」などと、治安を守るべきはずの軍・警察官や警察署の主導でデマが流された事実が明らかになっている。

 日本弁護士連合会は2003年8月、「軍隊による虐殺の被害者、遺族、および虚偽事実の伝達など国の行為に誘発された自警団による虐殺の被害者、遺族に対し、その責任を認めて謝罪すべき」「朝鮮人、中国人虐殺の全貌と真相を調査し、その原因を明らかにすべき」と勧告し、日本の国家責任を追及した。

 しかし、当時の目撃者や体験者は少なくなり、歴史教育から省かれていることなどから、事件の認知度も低下している。虐殺を否定する主張もある。

 そうしたなか、事件の真相と悲惨さを伝え日本の国家責任を追求するためより広範に運動を進めようと、事件の真相究明に努めてきた「関東大震災における朝鮮人虐殺の真相究明と名誉回復を求める日韓在日市民の会」などが呼びかけ会を発足した。

 この日の総会では会則や役員などが決まった。同会は、日本政府が国家と民衆による虐殺について、▼責任を認め謝罪し必要な措置を講じ、▼犠牲者やその遺族について調査し、▼虐殺事件の調査結果と資料の恒久的な保存・公開を行うよう求めていく。当面、国連や国会への訴え、国会議員への呼びかけ、官公庁への資料開示請求などを行う。

 総会では共同代表のひとり、山田昭次・立教大学名誉教授が「関東大震災時の朝鮮人虐殺の国家責任とは何か」について報告した。

 山田共同代表は国家責任について、「事件を引き起こした責任だけでなく、その責任をさまざまな手段を使って隠蔽した事後責任がある」と指摘。警察や内務省が流言を広め自警団を結成させ事件を誘発させた証拠となる史料を示した。そして、官憲による「朝鮮人暴動」の ねつ造、朝鮮人犠牲者の遺体の隠匿、在日朝鮮人の抗議や追悼の集会に対する弾圧などについて、史料や統計をもとに指摘した。

 山田共同代表は「日本がどれほどひどいことをしたのか、教科書には一切書かれていない。事実を伝え、朝鮮人の思いを掘り起こすことが大切だ」と述べた。

[朝鮮新報 2010.9.28]