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ビールケースの観客席

 1996年6月、第1回「ウリ民族フォーラム」は北海道で開催された。

 テーマは二つ、パネルディスカッション「ウリ民族教育−子どもたちの未来を見つめて」と講演「世界にはばたけチョンサンフェ(青商会)」だった。当時は、北海道朝鮮初中高級学校の体育館にビールケースを並べて観客席を作ったというから、隔世の感がある。

 95年9月に青商会中央が結成されると、破竹の勢いで地方組織が設立されていったものの、今ほどその名は同胞社会に浸透してはいなかった。それでもフォーラムが参加者たちに与えた衝撃はものすごかったようだ。

 当時を取材した先輩の話では、前日に呑みすぎて二日酔状態で“いやいや”参加していた会員たちが、パネラーや講演者の話にぐいぐい惹き付けられ、気づけば涙を流していたほどだったという。

 2回目、3回目とフォーラムが続いていったのも、もともと恒例行事としてスタートしたのではなく、感動が感動を呼び、いつしか年1回の恒例行事になっていったのだ。参加人数も、年を追うごとに増えていった。

 そして今年、「始まりの北の大地」にフォーラムは第15回目として戻ってきた。北海道青商会の李東潤会長は当初、北海道初中高での開催にこだわっていた。そのために専門業者に頼んで、同校の体育館に並べられるイスの数をはじき出したほどだ。

 しかし、とてもじゃないが参加人数が入りきらないという現実の前に、泣く泣くあきらめたという。(茂)

[朝鮮新報 2010.9.28]