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関東大震災朝鮮人虐殺 東京・荒川河川敷で追悼式

「共に生きる社会作ろう」

荒川河川敷の近くの私有地に設けられた追悼碑に手を合わせる人

 4日、「関東大震災87年韓国・朝鮮人殉難者追悼式」が東京・墨田区荒川河川敷木根川橋下手(旧四ツ木橋周辺)で、約100人の同胞、日本の市民らの参加の下、営まれた。

 関東大震災のあと、軍や官憲によって「朝鮮人が暴動を起こす」などの流言飛語が流され、軍・官憲とそのデマを信じた民衆らによって、関東一円で数千人の朝鮮人が虐殺された。その受難の現場の一つが開削工事中の東京・荒川にかつてかかっていた旧四ツ木橋周辺。

 追悼式では長年、真相究明に取り組んできた「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」の矢野恭子代表があいさつに立った。同氏は昨年、多くの方々の支援で、河川敷の外にようやく「関東大震災時 韓国・朝鮮人追悼之碑」が建ったと指摘して、次のように述べた。

 「地域の方々にも見守ってもらい、また、多くの方々が訪れるようになった。みかんや唐辛子、白つめ草の首飾りなど、いつも何かしらお供えがあり、碑のまわりも四季それぞれ彩りのあるように植栽した…。9月だけでなく、いつでも(犠牲になった)みなさまを思い起こすことができるようになったことで、みなさまの痛みが少しでもやわらいでほしいと願うのみである」

荒川河川敷で行われた追悼式。李松子さんの「アリラン」の歌声が響き渡った

 同氏は戦後65年経っても、解決できない朝鮮を植民地にした負の歴史を、とくに子どもたちに押しつけるのは、あってはならない、大人ががんばらなくてはいけないと、追悼式を前にして強く思ったと指摘。「高校無償化」制度から、朝鮮学校を排除したままの日本社会を批判した。さらに、追悼碑を守りながら、「多民族が共に幸せに生きていける日本社会の創造を願って」今後も努力していきたいと述べた。

 続いて、墨田区の多聞寺住職の岸田正博さんがあいさつし、「87年前、多くの朝鮮人が地震ではなく、人間によって、日本人によって虐殺された。私たちの足元にはその犠牲者のお骨が埋まっている。この悲劇を絶対に繰り返してはならない。流言飛語などで風潮に乗ってしまうと、また、同じ過ちを繰り返す恐れがある。この事件は、日清、日露戦争で日本が勝ち、『韓国併合』を成し遂げ、アジアに領土を広げる過程で起こった。間違った動きにはいっそう警戒心を持つべきだ」と語った。

 追悼式では歌手・李松子さんが「アリラン」「鳳仙花」の歌声を響かせ、犠牲者を悼んだ。

 また、この日、1年前に市民の手で完成し、除幕式が行われた朝鮮人虐殺事件の追悼之碑を訪れ、手を合わせる人々の列が続いた。(朴日粉)

[朝鮮新報 2010.9.10]