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各地で日校生たちのサマースクール 「Korean同士の絆深めよう」

 今夏も、全国各地で日校生たちのサマースクールが行われた。8月9〜11日には東京ブロック、東日本ブロックで、8月11〜13日には東海、北信ブロック、大阪、奈良、和歌山ブロック、兵庫、京都、滋賀ブロック、そして九州、山口ブロックで開催された。

 「Winning Korean−素直になりたくて−」と銘打った東日本ブロック(東京都奥多摩川井キャンプ場)には、神奈川、西東京、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、宮城、福島の日校生たちが参加した。一方、兵庫、京都、滋賀ブロックの日校生たちが参加した同行事は、「サマースクール2010! 〜巻き起こせ! コリアンの嵐〜」という主題のもと滋賀県希望ヶ丘文化公園で行われた。(姜裕香、周未來)

東日本ブロック 「これからもつながっていたい」

 「朝鮮人としてのプライドを持てた」−東日本ブロックのサマースクールに参加した日校生たちは、それぞれ自分なりの「宝物」を見つけた。

「よろしくね」。「紹介カード」を交換し合い、交流を深める日校生たち(左)、フォークダンスを踊る日校生たち

 崔金珠さん(高3、西東京)は、今回が最初で最後のサマースクールとなった。彼女は、今春行なわれた地域学生会の文化公演をきっかけに、学生会活動に参加するようになった。初めは大して興味もなかったが、一度見学に練習場を訪れた。到着するやいなや、彼女の耳に聞こえてきたのはサムルノリのチャンダンだった。他の日校生たちが、楽しげに声を合わせチャンダンを奏でる姿に魅せられ、その場で出演を決めた。その後、学生会の活動に定期的に参加しながら、朝鮮人としての自覚を深める一方、葛藤も芽生えた。彼女の両親は、生活の便宜上、朝鮮人の血筋を隠している。また彼女自身、日本国籍を所有している。

 「これ以上、朝鮮人であることを隠したくない」。サマースクールに初めて参加して、周りの仲間たちが朝鮮人として堂々と生きていこうという姿を目の当たりにし、抑えていた欲望が噴出した。「学生会の仲間たちは、家族みたいな存在。サマスでかけがえのない仲間と出会えた。私のために心からアドバイスをくれた彼らの温かい気持ちが、本当にありがたかった」。崔さんは、学校の卒業式で朝鮮名で呼ばれることを、新しい目標としていた。

キムチを作る日校生たち(左)、日校生たちは、それぞれ自分なりの「宝物」を見つけた。

 サマースクールを機に、地域の学生会活動に精力的に励むようになる日校生たちも多い。「埼玉の学生会を日本一の学生会にしたい」という李明樹さん(高3、埼玉)にとっては今回が2度目。初めて参加した去年は、民族に対する自身の考えを改めるきっかけとなった。今年は、その意思を強める機会となった。彼は、サマースクールの場では顔見知りの人たちともすぐに打ち解けられ、その経験から集団の力を体感しているという。「仲間たちとこれからもつながっていたい。民族差別が残る日本で、朝鮮人が団結して生きていることはすごいこと」。彼は、世代が変わっても民族性を守っていくために地域での学生会活動を活性化していく決意を述べた。

兵庫、京都、滋賀ブロック 学生会活性化の契機に

 兵庫、京都、滋賀ブロックの今年のサマースクール参加者は、大半が「リピーター」であった。

サマースクールは民族的自覚や欲求を実践する場となった(左)、運動会を通じて親睦を深めた日校生たち

 毎年、サマースクールに参加する日校生たちの存在は、各地域学生会が行ってきた活動と切り離しては考えられない。近年、学生会では多様なイベントの企画や訪問活動など、地道な活動を通じて着実に会員数を増やしてきた。サマースクールはそうした年間活動の集大成であり、今後の活性化につながるきっかけとなっている。

 一方、日常生活の中で朝鮮文化や同胞との交流の場が限られている日校生たちにとって、サマースクールは民族的情緒や同胞との一体感を感じることのできる有意義な場となっている。

 今回の参加が2度目となる鄭捺希さん(中2、兵庫)は、サマースクールを一番の楽しみにしていたという。「ここで出会った友だちは、日本学校の友だちとは少し違う。同じ状況にいるから壁をつくらずににありのままの自分で接することができる。高校を卒業するまで、毎年必ず参加したい」と目を輝かせた。

サマースクールは民族的情緒や同胞との一体感を感じることのできる有意義な場となった(左)、隔たりなく親交を深めた参加者たちは「来年もまた会おう」と互いに約束した。

 今年のサマースクールでは、日校生たちのなかで芽生えた民族的自覚や欲求を実践する場として、各地域学生会の活動が大きく紹介された。

 とくに、学生会OBたちとの座談会は参加者の好評を博した。高3学生会の座談会の席で発言したのは、京都学生会OBで現在は朝青右京支部の朴賢憲委員長。朴委員長は、自身がサマースクールに参加し、本名宣言をするにいたった経緯を話した。

 成有音さん(高3、京都)は、今回が初参加となった。父親が日本人であり、自身も日本国籍を所有している彼は、サマースクールを通じて初めて「朝鮮人である自己の存在」を意識したという。

 「OBたちの話で、国籍や名前が民族を規定するのではない、自分の意思が決めるのだと感じた。今後、学生会活動に参加しながら時間をかけて自分が朝鮮人としてどのように生きていくかという問題と向き合っていきたい」と語った。

 一方、地域の学生会活動を自身が担っていく決意を新たにした生徒も少なくない。

 兵庫学生会の朴貴玲副会長(高2)は、「学生会は、新たな出会いや人生のきっかけを提供する場。みんなが地域学生会の活動に参加して同胞学生同士の連帯を強化していこう」と話した。

[朝鮮新報 2010.8.25]