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大いなる90分

 「王国ブラジルを慌てさせた」−朝鮮代表のW杯初戦。ブラジルに完敗するだろうという下馬評を覆し、堂々たるたたかいを披露して世界を驚かせた。

 何よりも、民族教育を受けた在日同胞選手の活躍に同胞社会が沸いている。

 鄭大世選手は終始、ゴールを目指す姿勢で屈強なブラジルDF陣に果敢に挑んでいった。そして、朝鮮代表のW杯44年ぶりとなるゴールをアシストした。安英学選手は、FIFA年間最優秀選手賞にも輝いたことのある世界のトッププレーヤーにほとんど仕事をさせなかった。「守備の目立たないところで大きく貢献した」と評価された。

 「同胞選手はわれわれの誇り」

 同胞たちは賞賛の声を惜しまない。

 日本市民も関心を示している。ある食事会の場ではこんな会話が飛び交った。

 60代女性は「サッカーも政治もよくわからないけど、105位が1位と堂々とたたかったのだからすごい」と語った。

 40代男性は「異国で生まれ育ったのに、祖国の国歌を歌って涙を流せるなんて」と、鄭大世選手を生んだ同胞社会と民族教育、そして家族に敬意を払った。

 長年、日朝友好運動など総聯の対外活動に携わってきたある活動家は「朝鮮代表のたたかいぶりは、朝鮮に対するイメージまで変えた」と語った。朝鮮側の報道にまったく耳を貸さなかった日本人が、考え方を変えようとしているという。

 「あの不屈の精神力と固い結束力は、単に練習だけでは身に付かないはず。朝鮮の人々の暮らしを見てみたくなった」

 訪朝を決意させた90分になった。(泰)

[朝鮮新報 2010.6.21]