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「6.15実践生野地域の会」結成 統一への思いひとつに

地域の幅広い層をつないで

 在日同胞社会の和合実現と祖国の自主的平和統一を目指す「6.15北南共同宣言を実践する生野地域の会」が結成された。「共同宣言実践」を掲げる団体が地域レベルで結成されるのは注目される動きだ。13日、大阪・生野東朝鮮会館で行われた結成会には、総連大阪・生野東支部をはじめとする同胞諸団体の関係者や無所属の同胞たちが参加。結成趣旨や活動方針について話し合われ、交流会が行われた。同会は、同胞たちが団体の枠を超えて交流し連帯を深め一つになる場を提供していく。1年以上にわたり文化行事や講演会などを行い、結成準備を進めてきた。

「団体の垣根越え」

統一の歌を歌う朝青生野東支部の同胞青年たち(5日)

 結成会では、6.15共同宣言実践日本地域委員会から送られたメッセージが紹介された。

 続いて、韓統連生野支部の金昌秀代表が情勢報告を行った。

 金代表は、6.15共同宣言は「わが民族同士」で統一を志向することを最高首脳レベルで合意した民族共同の統一里程標だと強調。「天安」号沈没問題や朝鮮半島の非核化問題などについて解説しながら、日本のメディアの偏った報道で統一問題が曇らされないよう、共同宣言の内容と意義を日本で広めていく必要性を訴えた。

 同会は、昨年4月に行われた「生野ウリトンポフェスティバル」が400人の参加のもと盛大に開催されたのをきっかけに、統一や民族教育をテーマにした講演会などが続けられる過程で、「団体の垣根」を越えた交流へと発展し結成された。

 結成に尽力した総連生野東支部の金玉誠顧問は「祖国統一は年齢や団体を越えたすべての同胞の一大関心事であることをさまざまな同胞と交流する過程で再確認した」という。同時に、日本での民族和合が進まないことに苛立ちを感じていた。この日、金顧問は「祖国統一を否定する同胞はいない。熱い思いを一つにすれば大きな力になる」と述べ、互いに活動経験を共有しながら会を発展させていこうと呼びかけた。

 同会は今後、勉強会や文化行事などを開催し幅広い団体、個人を網羅していく。当面、事務局(5人)と各団体代表、個人による執行委員会によって運営される。総連からは生野東地域の総連支部委員長と分会長たち、女性同盟支部委員長、朝青支部委員長が選ばれた。

 結成会後、交流会が行われた。参加者全員が自己紹介し、統一や同胞社会への思いを語った。

 「総連の事務所に足を踏み入れ、こうして酒を酌み交わせるとは、6.15以前は想像もできなかった」「日本で私たちが声を上げなければ同胞の力を一つにすることはできない」「将来、統一が実現した時、子どもに『分断の時代、何していたの?』と聞かれて、『統一運動に貢献した』と胸を張って言えるよう、実践活動に取り組みたい」

 統一運動での体験談や感動的なエピソード、笑い話も飛び出し、交流は深まった。

民族圏拡大のモデル

結成会後、和やかな雰囲気の中で行われた交流会(13日)

 同会が結成された背景には、総連支部が推進した「トンポアイネット拡大21」がある。同支部は、広範な同胞を網羅するため各界各層の同胞に呼びかけ運動の推進委員会を発足。民族文化企画部会、生徒受け入れ部会などとともに民族団合部会を設置し、民族圏の拡大を図ってきた。

 それぞれの部会の活動が相乗効果を生み、これまで以上に同胞が行事に集まるようになり活動メンバーも増加した。各分会も活気を取り戻し、若い世代が分会や青商会で活躍するようになった。

 その過程で「祖国統一のため」「6.15支持」という世代を超えた同胞の共通認識を確認するようになった。

 総連支部の宋東輝委員長は、「さまざまな同胞民族団体や同胞との交流はもちろん、総連支部と分会の活性化、民族教育発展への取り組みなどを地道に続けてきた結果、この日の結成が自然と受け入れられたのではないか。運動の大きな柱になるだろう」と述べた。

 同胞社会の活性化を印象付けたのが、同団体の結成に先立って行われた朝青生野東支部主催の6.15共同宣言発表10周年記念野外イベント「IKUNO TON de NIGHT ON 2010」(5日)だった。

 地域の同胞青年たちが祖国統一をテーマにして開催したイベントには、約300人の同胞が参加。統一への願いを込めた歌や踊り、ビアガーデンなどで共同宣言10周年を盛大に祝った。

 生野東の朝青支部には、専従の活動家がおらず必ずしも有利な条件ではなかったが、支部委員長をはじめとする役員たちが「地域の同胞青年たちを一人残らず網羅しよう」と奮起。「自分が会わなければ同胞青年が日本社会に埋没して暮らすことになる」という責任感を抱いて、すべての同胞青年を対象に訪問面談活動を展開し、支部を活性化させた。6.15を祝うイベントはそうした活動の集大成だった。

 朝青のメンバーたちは、同胞社会や祖国統一に貢献してきた1世、2世の姿を見て育ち、先輩たちから多くを学んできた。

 一方、地域の同胞たちは未来を担う青年たちの姿から大きな力を得ている。「6.15実践生野地域の会」結成と朝青が主催したイベントは、こうした流れのなかで生まれた。

 結成会のある参加者はこう表現した。

 「手本になる大人、受け継ぐ若者」

 愛族愛国の伝統は継承され、地域運動の革新が始まっている。(李泰鎬記者)

[朝鮮新報 2010.6.16]