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北海道猿払村で数十人分 強制連行犠牲者の遺骨出土

同胞、市民、学生ら民族超え調査

 日本の植民地支配時代、北海道宗谷郡猿払村の旧陸軍浅茅野飛行場建設に強制連行され亡くなった朝鮮半島出身者らの遺骨を発掘する第3回調査が5月1〜7日、同村浅茅野の旧共同墓地で行われた。これまでで最も完全体に近い1体を含む推定19人分の遺骨がみつかった。調査は「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」、曹洞宗、地元自治体などが共同で開催。北海道大学と南朝鮮の漢陽大学、忠北大学の教授、学生、地元の住民らも参加した。遺骨と遺品は浜頓別町の天祐寺に安置された。

過酷な強制労働、残忍な扱い

学者による指揮のもとで行われた発掘作業の様子(写真はともに「北海道フォーラム」提供)

 浅茅野飛行場建設には強制連行された朝鮮人が動員された。証言や資料によると、1千〜4千人と推定されている。

 浅茅野に連行された朝鮮人の飯場は、四方がベニヤ張りで窓がないバラック小屋だった。周囲を鉄条網に囲まれた飯場は、逃亡を防ぐために監視され、夜になると鍵がかけられたという。

 過酷な労働、不衛生な生活環境、虐待などで犠牲者も多かった。

 遺体を運ばされた人の証言では、「自分が運んだ分だけでも200人」いたという。

 戦後、日本人の遺骨は移しかえられたが、朝鮮人の遺骨は残されたままだった。06年と09年にも発掘調査が行われ、10数人分の遺骨がみつかっている。

 発掘された遺骨の状態はまさに、過酷な強制連行の実態と残忍な遺体の扱いを物語っていた。粗雑に掘られた穴に3人分の遺骨が折り重なるように埋められていたり、骨に釘が刺さっていたり、無残な姿だった。

遺骨が安置された天祐寺で挙行された追悼式

 発掘に携わったある日本市民は、植民地支配と強制連行の過酷さを表わしている遺骨の姿に心を痛め、加害国としての責任を痛感したという。

 今回の発掘には日本市民と在日朝鮮人、アイヌ民族、ポーランドやドイツからの留学生が参加した。実行委員会の関係者は、国境や民族を超えた連帯と活動が和解への大きな歩みとなると述べた。3回の発掘事業では実際に遺骨が発掘されており、住民への聞き取り調査などで強制連行についての証言や資料も明らかになっている。

 地元の猿払村や自治会は発掘を全面的に支援した。高橋はるみ・北海道知事は今回、初めて実行委員会側にメッセージを送り支持を表明した。その反面、加害の当事者である日本政府や関連企業は協力を拒んでいる。

 これまで発掘された遺骨は天祐寺に安置されているが、遺族はみつかっていない。「北海道フォーラム」は遺骨を遺族のもとへ返してあげたいとしており、DNA鑑定などを日本政府に求めている。(泰)

[朝鮮新報 2010.6.7]