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継ぐ思いの先にある発展〜「アボジはヒーローだった」〜

 広島県商工会は半世紀を同胞とともに歩み、創造と継承を繰り返し発展させてきた。

 「トンネによる助け合いの歴史でもある」と金炳華・前県商工会副会長(63)は言う。そして、「形式にとらわれない方法で多くの同胞たちが集まった」と行事の成功を喜び、校舎を見回した。

 子どもたちもここの卒業生だ。自分も「家を失う覚悟」で新校舎建設に尽力した。学校に足を運ぶたびに、「なつかしいな、いいことしたな」という思いでいっぱいになるそうだ。

 金炳華・前副会長は、「学校のために何をしてきたかが商工人として重要なこと」と指摘し、「今ある同胞社会は、1世たちの一致団結した力で築きあげてきたものだ。若い世代も強い絆を結んで、先代や、自分たちよりももっと大きな仕事をしてほしい」と話した。

 余長鎬・県商工会副会長(59)は、「アボジの背中を見て育った。商工会、同胞社会のために貢献することは、自分にとっていつしか当たり前のことになっていた」と言う。アボジの余桂奎さんも県商工会の副会長を務めていた。余長鎬副会長がアボジから継いだものは事業よりもその志だった。

 余桂奎さんの事業の始まりは、「裸一貫の日雇い労働者」からだった。

 「幼い頃は雨漏りする家に住んでいた。苦しいところを見てきたからわかる。逆境を乗り越えようとするその姿を子ども心に本当に立派だと思っていた」

 余長鎬副会長にとってアボジは間違いなく「ヒーロー」だった。

 余長鎬副会長は、「同胞社会があったから今の自分がある。一蓮托生、最後まで同胞社会で誇りを持って生きていきたい。わが子は、雨漏りする家で住んだ経験はないが、その思いはしっかり託していきたい」と熱く語った。青商会の会員たちをはじめとする、同胞青年たちはその思いをひしひしと感じていた。

 広島青商会では、先代の魂を受け継いで、起業協力から経営支援、民族結婚の成就にいたるまでの幅広い活動を通して同胞社会の一翼を担っていきたいとしている。

 「フードコンテスト」に多くの同胞青年の飲食店が参加したのもその表れのひとつだった。

[朝鮮新報 2010.5.26]