「韓国強制併合100年・連続企画」 人権協会、東京でシンポジウム |
民族教育権確立のきっかけに、差別の根源は植民地主義
在日本朝鮮人人権協会が主催する「韓国強制併合100年・連続企画」の第1回企画であるシンポジウム「継続する植民地主義と朝高『無償化』除外問題」が4月24日、東京・文京区の文京シビックセンターで行われ、河正潤会長をはじめとする会員と同胞、日本市民ら100人以上が参加した。 シンポジウムでは、朝鮮学校除外が植民地支配時代からつながる日本の差別政策の中に位置づけられる深刻な差別であることが指摘された。一方、朝鮮学校や民族教育に関心が寄せられている状況を好機ととらえ、権利擁護運動を広範に展開しようという呼びかけがあった。 朝鮮大学校政治経済学部の李泰一助教の司会で行われたシンポジウムでは河正潤会長があいさつし、3人が報告を行った。 「朝高『無償化』除外問題の現況と課題」という題目で語った金舜植弁護士は、1965年文部事務次官通達、朝鮮学校の各種学校認可、大学入試資格問題など、民族教育の権利と朝鮮学校の処遇に関する歴史と問題点について解説し、「無償化」問題にまで連なる日本当局の変わらぬ民族差別政策を批判した。 金弁護士は「無償化」問題に関して、朝鮮学校の生徒の国籍比率や総連との関係など日本の政治家やメディアが差し向けた議論に惑わされず、子どもの学ぶ権利、民族教育の権利を主張することで日本当局の態度を変えさせなければならないと指摘。その上で、「主張が正当だからこそ多くの日本市民が支持してくれている。朝鮮学校が注目されている現状は、朝鮮学校の地位を大きく変えるきっかけにもなる」と述べた。
続いて、「在特会」による京都朝鮮第1初級学校襲撃事件の映像が上映され、学父母でもある龍谷大学法科大学院の金尚均教授が発言。「公園を不法に占拠している」と言いがかりをつけられ学校が襲撃されたが、教職員や学父母は挑発に乗らず冷静に対処しており、約100人の弁護士からなる弁護団の支援を受けていると報告した。
金教授は「『在特会』の行為は、あからさまな差別行為であり外国人排斥行為だ。相手をおとしめることで自己を正当化しようとしている」と厳しく非難。「民族教育は、日本の植民地支配によって失われた民族の尊厳を回復させるためのものであり、在日朝鮮人の当然の権利である」と強調した。 「国際社会からみた日本の人種差別」という題目で発言した東京造形大学の前田朗教授は、国連人種差別撤廃委員会での活動報告を行った。それによると、日本政府は人種差別的発言でさえも「表現の自由」として保障しようとし、国際的なひんしゅくを買ったという。委員らは、朝鮮学校を「無償化」の対象から除外するよう求めた「中井発言」など、深刻な差別に懸念を表明したという。 前田教授は、日本人の多くが北海道や沖縄に対するのと同様、朝鮮や中国に対して植民地支配したという認識が薄いと指摘し、植民地支配時代の朝鮮人抹殺、その後の同化・差別政策など「コリアンジェノサイド」は終わっていないと強調。在日朝鮮人を弾圧することでアイデンティティを保とうとする者が日本に存在しており、それが100年以上も清算されず続いている植民地主義によるものであると指摘した。 連続企画の2回目は7月に予定されている。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2010.5.6] |