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東京第5初中で「学校寄席」 理解力、集中力の高さに驚いた

初めて聴く落語に興味津々の生徒たち

 課外授業の一環として「柳家小きん(噺家、真打)師匠落語鑑賞会」が17日、東京朝鮮第5初中級学校で行われた。同校で「学校寄席」が開かれるのは初めて。主催した江戸川青商会(李英福会長)の会員をはじめとする学父母と全校生徒が鑑賞した。

 落語鑑賞会は、初級部低学年からはじまり高学年、中級部の3回に分けて行われた。

 今回の鑑賞会は、小きんさんが今年の新年会に招かれた支部で一席口演したのがきっかけ。その後の朝・日新春の集いで青商会、学校関係者との交流が広がり、自ら朝鮮学校での寄席を熱望したもの。小きんさんは各地の小学校から大学まで年間で約20校を訪れ「学校寄席」を行っている。「人生の師匠」と慕う人から中国、朝鮮・韓国は文化的に「お兄さんの国」と教わったこともあり、以前から強い興味を抱いてきた。朝鮮学校での寄席は小きんさんにとっても初めて。

 小きんさんはまず、自分が座る高座(舞台)について語った。

 今回の高座は教員たちが手作りした。小きんさんはその事実にとても感動し、スタッフ、役員の「真心」があって芸を披露することができると話した。

 小きんさんは噺家として「礼節」を重んじてきた。古くから寄席は演芸場であると同時に、学校がない、または通えなかった当時の子どもたちにとって「あいさつの仕方」や「目上の人との話し方」を学習する「学び舎」としての側面を持っていたと指摘する。

生徒一人ずつと握手する小きんさん

 続いて手ぬぐいを紙、扇子を筆に見立てて字を書く仕草や、扇子を箸に見立てて麺をすする様子を表現した。麺をすする音がどこから出ているのかと生徒たちが高座に釘付けになったところで、この日の演題「牛ほめ」が披露された。

 噺が進むにつれ、会場の生徒たちから大きな笑いが起こった。

 初めて落語を聞いたという林暁成さん(中3)は、「とてもおもしろかった。とくに落ちを読めないところがよかった。落語は大人のものだという印象が変わった」と述べ、また聴きたいと感想を述べた。

 口演を終えた小きんさんは、「朝鮮学校の生徒たちの理解力、集中力の高さに驚いた。子ども特有の照れもなく、よい学校寄席となった」と満足した様子で「要望があれば全国どこでも出張する」とも語った。

 青商会では、出演料などの費用を前回のチャリティーゴルフコンペから賄った。これからも子どもたちが多様な文化、エンターテイメントにふれられるように、今後もコンペと共にいろいろな企画をしていきたいとしている。

 東京第5初中が掲げる今年のテーマは「共育」。学校関係者も、地域同胞社会の拠点としての学校の存在を生かし、子どもたちのための「共に育み学べる場」を作っていきたいと意欲を示した。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2010.4.26]