朝高ラガーマンの選択 |
ラグビーの第11回全国高校選抜大会決勝戦は壮絶なたたかいとなった。 高校ラグビーでは引き分けた場合、両校優勝となる。なので、同点のまま迎えたロスタイム、「優勝にかわりはない。そのまま終われ」。正直そう願った。 東福岡の監督もこの時、「同点でいいと思った」という。だが、試合後の会見で「生徒に申しわけない」と詫びた。最後まであきらめず「勝ちにいった」選手たちの姿に心を打たれたからだった。 両校の選手たちは、同点優勝をよしとしなかった。プレーを切れば直ちに試合が終わる場面だったが、ボールを奪った大阪朝高は外に蹴り出さず、前に蹴り返した。それを受けた東福岡もパスを回して攻め込んだ。2分と表示されたロスタイムは4分が経過。最後は東福岡が決勝トライを決めた。 大阪朝高が勝っていれば「全国大会初優勝」が歴史に刻まれる。何より「高校無償化」問題で注目される時期に全国制覇する意義は大きかった。ただ、それは単なる「大人の論理」にすぎなかった。 大阪朝高の呉英吉監督は「白黒はっきりつけるべきだった」と選手の選択を支持した。金寛泰主将は「最後まで攻め続けたことに悔いはない」と胸を張った。 両校の選手たちは試合後、肩を組んで記念撮影を行った。互いに最後まであきらめず攻め続けたからこそ、明るい笑顔を浮かべることができた。 大阪朝高は「花園でのリベンジ」を誓い新たな目標に向かって走り出した。「優勝以上に価値ある敗戦だった」と振り返られる日が来るかもしれない。(泰) [朝鮮新報 2010.4.12] |