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30年留保された「無償化」

 「『高校無償化』制度からの朝鮮学校除外」−2月末、中井洽拉致問題担当相が言いだし、鳩山首相が同調したこの問題。制度は、朝鮮学校についての結論は先送りという形で4月から実施されることになった。

 「あからさまな差別が温存されることは許されない」。関係者たちは気持ちを引き締めて「除外」反対を求める新たな運動に立ち上がっている。

 「高校無償化」制度は本来、国際人権規約のA条約(社会権規約)第13条で定められている条項だ。人種や民族の違いを問わず、高等教育における教育の機会均等の権利と教育の無償化を規定している。

 日本は1979年に同条約に加盟しているが、30年以上も条項の実施を留保してきた。国連の社会権規約委員会は01年、日本に留保撤回を勧告。しかし、日本はそれを無視し続けた。留保国は、同条約に加盟している160カ国中、日本とマダガスカルの2カ国のみだった。国内総生産(08年度)を見ると、マダガスカルが124位と厳しい経済状況にある半面、日本は2位という圧倒的な経済力を示す。

 この30年、日本政府は自国の子どもたちへの教育権を蹂躙してきた。そのうえ、朝鮮学校除外という新たな人権侵害を引き起こそうと画策する愚かさは、すでに国際社会の憂慮と懸念を招いている。

 「最初は『まさか』と思った。今では『またか』と憤っている」とは、ある同胞の談。

 「またか」が繰り返されることになれば、それはそっくりそのまま日本の恥として跳ね返ってくる。(陽)

[朝鮮新報 2010.3.29]