トッ(朝鮮の餅) |
年の瀬になった。わが家は年末になると親せき一同が集いトッ(朝鮮の餅)切り大会をする。近所の餅屋にトック(雑煮)用に餅を作ってもらい、細長い棒状のトッを斜めに一口サイズに切っていくのだ。それを廊下に広げて干し、食べる数時間前に水につけておく。真空パックで売られているトッとは食感がちょっと違って、おいしい。 幼いとき、機械から餅が出ていくのを物珍しそうに眺め、アボジと運び、一同が、包丁にごま油をつけながらいっせいに切っていく様子を見るとワクワクしたものだ。だが、今年はその餅屋も閉業してしまい、手作りのトッを食べるのは難しそうだ。年末の恒例行事がひとつなくなってしまうのは寂しい。 もうひとつ年末の恒例行事がある。家族みんなで新年が明ける直前に、昔住んでいた家の近所の神社に行き、炊き出しの年越しそばを食べ新年を迎え、「おめでとう!」という歓声の後、福引きをするのだ。そこで幼なじみと再会したものだが、最近は顔なじみも減ってきた。パートナーとの初詣や結婚など、少しずつ家族みんなでの年越しも難しくなってくるのかもしれない。年末になるとそんな寂しさも噛みしめさせられる。 それでも祭祀の準備は変わらない。昨年末から、買い出しを私が担当するようになった。どのテジコギ(豚肉)を選べばいいのかよくわからないまま購入し、案の定脂が多いとダメ出しをくらった。今年はトッの購入も任される。変わっていくこともあるけれど、こうやって伝統行事も変化しながら受け継がれていくのだろう。今年は合格点をもらえるようにしたいものだ。(徐麻弥、団体職員) [朝鮮新報 2009.12.11] |