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わが家の娘たち

 わが家の娘たちに「誰が一番怖い?」と聞いたら、声をそろえて「大阪のハンメ」と答える。

 私の実家のオモニのことだ。本当に怖い…と言うか、厳しいのだ。孫だけに厳しいわけではない。

 相手がヤクザだろうが、大臣だろうが、間違ったことには見て見ぬ振りができないのである。

 そのうえ、困った人を見て見ぬ振りもできない性質である。

 迷子になった子どもの保護、いち早い火事の通報、コソ泥を捕まえて表彰されたことさえあるほどだ。

 それなのに、やけに涙もろい。

 ドラマを観ても、故郷からの手紙を読みながらも涙を流す。

 おまけに太っ腹でもある。

 故郷の慶尚道に残してきた兄弟のために、内職をしてコツコツと貯めたお金を送り続けていたし、女性同盟分会長として、胡麻油を同胞の家に配り、その利益金を全てウリハッキョに寄付をして、朝鮮新報の紙面に紹介されたこともある。

 一世であるオモニが異国の地でなめてきた辛酸は言葉にできないほどだったはず。

 だからこそ、たくましく、優しくもあるのだろう。

 八十路を目の前にしたオモニ。そのDNAがわが家の娘たちに、しっかりと受け継がれている。

 三人とも、小心者の私に似ず、大胆でお人好しで、泣き虫だ。

 彼女たちに「今、何が一番食べたい?」と聞いたら、声高々に「大阪ハンメのご飯」と必ず、そう答える。(孫美仙、パート事務員)

[朝鮮新報 2009.11.27]