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もっと大切な何か

 運動会のシーズンだ。

 去年までは初・中・高級部に娘たちがいたので、3週連続のお弁当作りに忙しい日々でもあった。

 今年からは中級部が抜ける。煩わしいと思っていたが、いざなくなると何だか寂しい気になるものだ。

 変な話だが、私は運動会に行くたびに泣けてくる。

 わが子が一生懸命に走る姿に、卒業生が両親の手を取走る姿に、極めつけは、集団体操のひたむきな姿に…。

 一人ひとりの真剣な表情、女子生徒の優雅な動き、男子生徒のたくましさ、初級部や幼稚園児の愛らしさに胸が熱くなる。

 ウリハッキョに通う子どもたちの毎日は決して楽しいことばかりではない。

 バスや電車に揺られる通学路、マスコミの報道に振り回され、心ない人々の冷たい視線にさらされることも一度や二度ではない。

 こんな辛さをかき消す、もっと大切なものがウリハッキョにあることを知っているから、子どもたちは頑張ることができるのだろう。

 熱い思いで運動会を見守る学父母たちも、厳しい状況下で子どもたちをウリハッキョに通わせる選択が正しかったことを再確認しているのだと思う。

 運動場を駆け抜けるこの子どもたちも十数年後、20年後には今の私と同じように、異国の空の下で、たくましく育つウリハッキョに通うわが子を誇らしげに見守ることだろう。

 そんな思いで私は、運動会のたびに泣けてくるのである。(孫美仙、パート事務員)

[朝鮮新報 2009.10.23]