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夢を現実に

 ベネチア・ビエンナーレに合わせてユニセフのコンサートが開催された際に、ソロ歌手としてイタリアの子どもたちと一緒に歌ったことがある。練習を重ねてお互い交流を深め、歌を通して平和を祈る気持ちが通じた素敵な出会いだった。

 帰国後、インターナショナルスクールで音楽指導をする機会があり、自己表現が上手な各国の子どもたちに引き込まれるように、私の方が音楽を心から楽しんだ。

 所変われど、子どもたちはいつでも元気いっぱい。これまで音楽を通して各国の子どもたちと心の交流ができた思い出は、私の宝物だ。音楽に国境はないということを、子どもたちから学ぶことができたのだから。

 子どもは大人の夢だと思う。

 自分を含め、大人は日々の生活の中で、時間に追われたり、目の前のことをやり遂げることに追われがちだが、子どもの発想は自由だ。自分が楽しいと思うこと、興味のあることを素直に受け入れ吸収する。大人になると「現実はそんなに甘くない」とよく言うが、そんな現状を作り出してるのは自分自身だったりするのかもしれない。

 「音楽を通して世界中の人々と交流を持ちたい」という夢は現在進行中だ。

 話を聞く機会の多い、朝・日の著名な作曲家の先生方は、平和を願う楽曲を作り形に表されている。コンサートでは、その優しく深い想いに感動を覚えながら、自分なりに平和への祈りを込めた歌を歌うという誓いを胸に刻んでみる。

 今だからこそ、夢を現実にして平和を願いたい。(チョン ヒャンス、歌手)

[朝鮮新報 2009.6.5]