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ウリハッキョで得たもの

 ウリハッキョを卒業し社会に出て、「一番良かった、ラッキー!」と思えるスキルは「ウリマル」だと思う。今も仕事上、ウリマルを使用する機会が多く、細かい打ち合わせにも助かっている。

 イタリア留学中、南朝鮮の友人たちと一緒に学びながら、お互いに助けあったり、くだけた話もできて楽しかった思い出がある。そのたびに「あなたはどこでウリマルを学んだの?」と聞かれた。その時は「日本にある朝鮮学校で12年間学んだ」と答えたが、相手は、「朝鮮学校! 異国で学んだわりには水準が高い、すばらしい学校ですね」と、よく驚かれた。

 ウリハッキョに通って身についたのはウリマルだけではなく、先生を敬い先輩、後輩の関係を大事にする協調性もそのひとつ。初級部で習っていた民族楽器のタンソを続けたかったが、中級部にはなく諦めていたとき、担任の先生がプレゼントをしてくれたこと。高級部卒業近くに進路変更を希望し、無謀にも音楽大学の受験の厳しさを全く知らなかった私に、声楽のレッスンから始めるよう導いてくれた担任の先生。先生方の教育にかける熱意には今でも頭が下がる思いがする。

 私の出身校は時代の流れで初中級部とも今はもうないが、体に染み付いた民族的な感性や仕事に活かせる言語能力は私の大事な宝物になっている。舞踊部だった友人が、「チャンゴの音を聞くと今でも胸が躍る」と、言っていたが、ウリハッキョ出身者ならではの感性だと感心した。自分のルーツを自覚できるのは素敵なことなのかもしれない。(チョン ヒャンス、歌手)

[朝鮮新報 2009.3.27]