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たくましく、美しく

 離婚が増えたように思う。娘の同級生のオモニは20歳で結婚、32歳で離婚したが、ある日夫から「好きな人ができたから別れてくれ」と言われたそうだ。小学生の長女を頭に娘3人を抱えて、一時心のバランスを崩したという。今はそんな事をみじんも感じさせない、明るくたくましいオンマだが。

 高校生になった長女は学費のためアルバイトに励み、好きだった舞踊も辞めざるをえなかった。昼も夜も働き生活を支える彼女にとって、朝鮮学校の月謝は大きな負担だろう。ある日オンマたちの食事会でその話題になった。彼女いわく、「担任の先生が来てアルバイトは禁止されてるって言うじゃないの。だから私は言ってやったのよ、自分の学費を稼がないとこの子を朝鮮学校には送れませんってね」。

 みなが「月謝高いもんねー」と相槌をうつと、彼女は続けて言った。「でも仕方ないでしょ、朝鮮人なんだからさ、朝鮮学校に送らないことには」。

 いま37歳の彼女の言葉に、みんなが聞き入った。それから「じゃあ末娘が中学を卒業する時までにはニューアッパ? を見つけるということで!!」と爆笑しながら食事会を終えた。

 生きることは簡単じゃない。人生には思いもよらないアクシデントがいっぱい起こるのだから。

 それでも朝鮮人であることを自分の中にしっかりと持ちながら、雄々しく人生を生きるそのオンマの姿は美しかった。

 3人の娘たちもオモニの働く姿を見つめながら、しっかりと育っている。(李春伊、会社員)

[朝鮮新報 2009.2.20]